この季節はあまり好きではない

節の分け目

 

 

 

 

太古の昔から受け継がれる

地ならし・・・・

大地を踏みしめ邪気を祓う慣習

 

いつの世も・・・

その本質を分からぬまま

慣例と化す

 

 

幾人が崇高な儀式と理解しているのだろう

わが主は歴代の式使い

その子孫にまでしっかりとした理を伝える

その傍らで過ごすことが

どれほど居心地のいいものか

 

今となっては我にしかわからぬ

 

 

 
 

 

 

 

「どうした?潤・・・・」

 

「ドウシタトハ?」

 

「・・・・いや、珍しく柔らかい顔をしているから」

 

「ヤワラカイ・・・」

 

「・・・・ふふっ、気が付いていないのなら、それはそれでいい」

 

 

 

 

 

そう・・・その微笑みが我の心を解きほぐす

幾千年もの長い間代々仕え続けてきた我が主は

このような表情をしたことがない

 

そして・・・

それ以上に・・・

我にも見せたことのない表情を

見せるとき

 

隣にたたずむもう一つの癒し

 

 

 

 

 

 

邪気を寄せ付けず

陽に守られしもの・・・

主の選んだ唯一の人の子

 

 

「潤、姿を隠さなくてもいいぞ、豆まきは正当な撒き方を

教えるから、安心していいよ」

 

 

「・・・・・・・アレニ、デキルノカ?」

 

 

「そうだなぁ、なんせ不器用だからな(笑)」

 

 

「・・・・・ワレマデケサレテハ、コマル(微笑)」

 

 

 

 

 

 

「・・・・・潤、壮観な眺めだな、奇麗だよ、とても・・・」

 

 

気が満ちるとき

我のカラダが浮上する

我の実態・・・・

 

その時が近いことを知らせる

 

 

 

「マチクタビレテイルゾ・・・・」

 

 

 

「ははっ、・・・・・待ちくたびれているのは、こっちなんだけどな(笑)」

 

 

 

 

「まぁいいか、豆まきしてくる・・・」

 

 

「・・・・・ドコニマク?」

 

 

「・・・・(笑)もちろん、お口」

 

 

「・・・・・・・・・・。」

 

 

 

 

 

 

「翔く~ん、豆まきするけど一緒にどう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・嬉しそうなその顔が

少しばかり羨ましいと思うことが

増えていく・・・・

 

 

オニヤライ・・・・

 

追儺

古の浄化の儀式