偶然目に留まった
ただつけているだけの
テレビの向こうで
その言葉の意味を教えてくれた
雪月花・・・・
初めて
その意味を知ったとたん
記憶の奥底から湧き上がる
奴の顔、顔、顔。
いまさらながら
鈍感すぎる俺の脳みそは
奴にとって
厄介の何物でもなかったのだろう
甘えたいのを必死で我慢する癖
強がって悪態ついて
粋がって・・・・
突っかかる
それでも俺の傍を
離れようとはしなかった
時々、うざったく思って
突っぱねたり・・・
むきになる顔が面白くて
態とかまったり・・・
縋るような瞳で何かを
訴えかけていたのを
本当は気づいていたはずなのに
軽く流していた
いつしか、いることが当たり前で
それを何とも思わなくなって
今思えば・・・
そんな奴との戯れが
心地よくて
自分のモノ の様に思えて
好き勝手に
振り回していたのかもしれない
さぞや、疲れただろうに・・・(苦笑)
なにが楽しくて俺のところに
転がり込んで来たのかなんて
考えてもみなかった
奴がどこで何をしていたかさえ
気にならなかったし
奴も必要以上に喋らなかったから
気づけば
いつの間にか居ついて
寝起きを共にしていた
干渉は一切なし
好きな時に
好きなように
奴と過ごした
奴もされるがままに
俺に応じた
その時だけは
何とも言えない・・・
柔らかい顔をしていた
俺の・・・
一番お気に入りの
顔を
いつかは
いなくなるとは思っていた
勝手に来たのだから
勝手に出ていくのも当たり前
そう思っていたのに
いざ、
いなくなったらなったで、
もの寂しくなるものなんだって
それも、初めて知った
奴の存在はそうして
俺にとってなくてはならないものに
なっていたんだな・・・
それも・・・初めて知った
これが迷い猫なら
軒先に餌でも置いておけば
またいつかフラっと戻ってきたり
するのだろうけれど・・・
さすがにもう・・・来ないか
最後の言葉
いなくなる前に
呟いていた
セツゲッカ・・・
今日は・・・雪が降っている
明日はきれいな月夜になるかもしれない
そして春を告げる花が咲き始めるころ
初めて奴を見たあの場所で
花見酒でもしようか
一人・・・さみしく(笑)
奴の顔でも肴にしながら
季節を愛でよう
雪月花
言葉通り
一年中過ごして来た
季節とともに
想いを馳せる
ずいぶん
面倒くさい俺になったもんだ
いつか責任取れよ(笑)
雪月花
いい響きだ・・・・
