翔くんがここに来て何度目かの季節が巡る
イベントごとが大好きで、
隠しきれないサプライズが大好きで(苦笑)
毎日起こる新しい出来事は
もはや日課といってもいいくらい
式が馴染む数少ない人物
自分の呼称が
「僕」から「俺」に変わったころに
自分の中で翔くんの存在が特別なものに
なったことを彼は気づいただろうか?(苦笑)
心は正直だから
式が敏感に反応する
自分の心情は潤が代わりに言葉にする
時と場合によって厄介な言霊は
大切なことを伝えることに不向きになる
真実が偽りに思えてしまうから
「・・・・・サトシ、少しいいか?」
珍しく潤が声をかける
「どうした?珍しいな」
「・・・・あいつが、ヘマしないように見守るつもりでいたが」
あいつ?・・・翔くんのことか
「下手な芝居に付き合わされるのは正直疲れるんでね」
そう言って・・・笑った
潤・・・・お前気づいていないだろう?
人と近くで接するということは
もちろん良くも悪くも影響は出るものだが
なかなか・・・いい方向にいっている
契約の時までもう間もなくだ
晴れて自由の身となる「式」を俺は
初めて見送ることが出来るのだな
寂しくなるな・・・(笑)
「サトシ・・・・・どうした?」
「いや、なんでもない。それより下手な芝居とは?」
顎でリビングのテーブルの上を指す
みればどこかの花火大会のチラシ・・・・
これ見よがしに置いてある
ククククッ、
「・・・・そう笑うな、奴なりの最善策なのだからな。」
そういう潤、お前も顔が笑ってる
さて・・・・どうしたものか
隣の部屋で翔くんと式の話し声が漏れてくる
もう少し・・・トーンを下げないと
丸聞こえだぞ・・・(苦笑)
花火大会ね・・・・・
俺としては、まったり部屋から眺めても
いいと思っているのだけれどね
翔くん、お手並み拝見としますか?
ックククク
面白いよ、ホントに君は!



