＃redemptive love（贖罪）
「久しぶりだね・・・大野さん」
機械的な低音の響き
鼓膜から張り付いて引き剥がせない
低音の・・・響き
その声をかき消すように尋ねる
「・・・・・・・カズは」
一つ呼吸を吐く音
「カズ・・・・・か。カズって呼んでいるんだ、」
「・・・・・・・・・・。」
「俺がここになぜ居るのかよりも、気になるんだ」
窓際からゆっくりと歩み寄る
シルエットが
間接照明の中に浮かび上がる
半分だけ照らされた端麗な顔立ち
もう半分は・・・・暗く淫靡
「毎晩・・・会ってるの？」
鼓膜に響く低くくぐもった声
無意識に記憶が身体中走り抜ける
痺れるような甘美な疼き
「・・・・・・・毎晩？」
「あぁ、毎晩だよ。だって俺はあいつを毎晩抱く」
毎晩・・・・抱く？
「・・・・・なんだ、知らなかったんだ」
カズ・・・・・・？
照明から伸びた影が
ゆっくり近づいてくる
「話すことは何もない、カズがいないのなら帰る・・・」
それでもなお
近づく影を制止して
ドアに向う
カズ・・・・・
カズに会いたかった
白い肌を抱きしめたかった
会って、本当は何を思っていたのか
聞きたかった
それから・・・・謝りたかった
ドアノブに手をかけたとき
その向こう側に気配を感じた
カズ・・・・・・
そこにいるのか？
一瞬の油断
背後からのびてきた腕に絡め取られ
薄暗い部屋に引き戻される
「行かせないよ・・・・・大野さん」
智くん・・・・・・
低くくぐもった声が俺の名前を呼んだ
カズ・・・・・・
これがお前の答えなのか？