promise





「智・・・・・支度はできたか?」


「・・・・ん、あぁ、問題ない」




俺の新しいパートナーは


たいそうな金持ちでこの

近隣の会社を幾つも買収している


所謂ブローカーと呼ばれている人物らしい




人に興味などわかない俺にとっては


どうでもよいことだが




俺がここに住まわされてから


一度も触れてこない



一応の覚悟はした上で話を受けたのだが


全くそんな素振りすらい見せない





ならば、なぜ俺を?身請けしたのだろう・・・・


と、よく思ったものだ





ここにきてもうすぐ一年が経過しようとしている





元気でいるだろうか・・・・・


赤い薔薇の君は・・・・






一度だけ潤と一緒にいるところを


車の中から見かけた


仲の良さそうな二人に

少しだけ心がざわついたが



俺よりも・・・・



斗真・・・・・お前の方が尋常じゃ無かった



それが何を意味するものなのか


後々分かったのだが




俺を選んだ理由がいたく気にいって


出来るだけこの男のために何かできることを



してみようと・・・・・



そう思ったんだ







「智・・・・・今日のパーティーは気が乗らないのだろう?」


「・・・・・気にするな、いつだって乗ってなどいない、今更だ」



「ふふっ、そうだったな、すまん。」


「いいさ、俺なんかで役に立つのなら喜んでお供するよ」



「あぁ、そうしてくれると俺としても非常に有難い、」



「大げさだな・・・・・・」



「いや、実際に交渉するにあたり智がいると、ほぼ、パーフェクトに


商談成立するからな、みんな骨抜きだ(笑)」




「間違うな、お前のもともと持っている才能がそうさせているのだ」



「それは、どうも・・・・では、出かけるか」



「あぁ・・・・・」




斗真は・・・・・・俺のパートナー


だが・・・・その目的は


俺と同じ


面白いように似通った俺たちは


同じ目的のために策を練る


欲しいものを手に入れるために




今夜は・・・・・・いい酒が飲めそうな予感がしている





夏の匂いが鼻先をくすぐる



まだ肌寒かった春先の甘い季節は


もう過去のものとなっていた







これから俺は




欲しいものを・・・・・手に入れる






 

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それが一瞬だったとしても・・・