![5d8fb880cce92f7f566352a591692e8a[1]-1](https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Flivedoor.blogimg.jp%2Frideontime1126-allornothing%2Fimgs%2F9%2Fb%2F9b61a8b7-s.jpg)
凍てつく月夜にいつの間にか季節は変わり
あの日、目の前でその姿を俺に見せつけたあの人は
見知らぬ人に添われ消えていった
「潤」からの連絡は・・・・・彼なりの想いのこもったものであろうと
推測した・・・・
きっと俺に見せたくなかったのだろう
あの人の喜ぶ顔を・・・・・
見知らぬ人と見つめ合い微笑む顔を・・・・・
例えそれが本意ではなかったとしても
あの日以来、「潤」とは頻繁に連絡を取り合い
いなくなったあの人を思いだしては二人して遅くまで
語るような仲になっていた
潤にとってもあの人のことを話せる唯一の人間が俺だけなのか
知り合ってから今までのことを話して聞かせてくれた
苦労・・・・していたんだな
「潤」の容姿には似つかわしくない煙草を咥え
まずそうに吸う姿にはいまだに慣れないでいる
煙草をもみ消しすぐにまた箱から取りだす手を掴む
「もう・・・やめとけ、吸いすぎだ・・・・・」
「・・・・・フンッ、あんたまで、サトシと同じことを言うんだな・・・」
「俺じゃなくたって、それだけ不味そうに吸われたらいい加減止めるだろう(苦笑)」
「潤」からその煙草を取り上げ火をつけた
紫いろの煙がゆらゆら月夜に向かって立ち昇る
月夜は・・・・あなたの面影を思いださせる
幸せでいればいい
ただ・・・・それだけを願っている
あの・・・綺麗な声と
涼し気な微笑みが絶えることなく
あなたから溢れることを願っている・・・・・

「なぁ・・・・潤、あの人はどこにいるんだろうな」
「・・・・・さぁね、知ってどうする気?」
「・・・・・笑っているといいな、」
しばらく沈黙したまま、煙草をぎりぎりまで吸い尽くし
最後に大きく吸い込むとため息と共にはき出した
隣にいた「潤」が後ろに回り背中合わせに俺に体重をかける
「・・・・・・ねぇ、あんたのこと「翔」って呼んでもいい?」
・・・・・・・そう言えば、出会ってから一度も呼ばれたことがなかったかもしれない
今さら?そう思ったが・・・・
「潤」は・・・・あの人がいなくなった穴を俺でうめようとしているのか
強がってはいるが・・・・寂しいのだろうな
「・・・・・あぁ、好きにしたらいい(笑)」
月夜は人の心を素直にさせるのか・・・
「潤」のはにかんだ笑みが雲間から漏れる月光に映しだされる
![o0374037813256989441[1]-1](https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Flivedoor.blogimg.jp%2Frideontime1126-allornothing%2Fimgs%2F3%2F7%2F37cef260.jpg)
悔しいが・・・・俺の知らないあの人との時間を過ごしてきただけあって
雰囲気が一瞬、似ているように感じた
俺も・・・・いつかあなたを名前で呼ぶことが出来るのだろうか?
サトシ・・・・・・と
