「・・・・・・・・・・・・・。」
やっぱり・・・少しうるさいかなぁ
(笑)
イケメンの顔立ちに似つかないほど
大きく開いただらしない口元を
そっと指で撫でてみる
「・・・ふふっ、プクプクだ」
「んがぁっ???」
イケメンの顔立ちに似つかないほど
鼻を鳴らして薄目を開ける目元に
そっと唇を寄せる
微かに触れる長い睫毛が
くすぐったい(笑)
何度も唇に睫毛が当たる
「・・・・・智くん?」
きっと大きな瞳をクルクルさせて
たくさん瞬きしているんだろうな(笑)
起きたばかりの掠れた声が
懐かしく感じる
もちろん、特大の鼾もね・・・・
「・・・・・・おはよう、翔くん」
状況がまだ、のみ込めない翔くんの
めったに見られない焦り顔
余裕のない翔くんは
俺しか・・・・・知らない
「・・・さ、智くん」
不安気な眼差しも
陽気な笑い声も
大きな欠伸も
おじさんの様なくしゃみも
いつもそこにあった日常が
特別に思った瞬間・・・・
翔くんといるから眩しく思えるんだ
そう確信した瞬間・・・・・・
瞼からゆっくりと唇をずらしていく
モソモソと身体の向きを変えようとする
翔くんに少しだけ体重をかけて
抑えつけると
重なった肌から伝わる拍動の響き
ドクドクと・・・・
上も下も同じように拍動を繰り返している
思いは一つ・・・・
みたいだね(笑)
夕べお預けくらった分
今からいただくことにしようか?
それとも・・・・・
食べてもらおうか?
少しずつ雄の目色に変わっていく
翔くんの瞳に自分の顔を映して
プクプクした真っかな
果実を
じっくりと味わう
久しぶりの果実は
すこしだけしょっぱい味がした
END



