「翔さん・・・」


会場に戻ると後始末をしている二宮にジロリと睨まれ

ネチネチと嫌味を連打される

そんな二宮を部屋の片隅で見守る視線に気づくが

俺と目が合ったとたん足早に会場を後にした

 

「・・・二宮知り合いでもつれて来ているのか?」


一瞬動きが止まるがすぐに元の憎まれ口に戻る


「翔さんじゃないんだから、ここまで来てよからぬことなんか考えないよ」


「・・・その、よからぬ元を連れてきたのはどこのどいつだ?(笑)」


「・・・・・なんだ、ばれてたんだ・・・というか、可愛いよね、彼」

 

可愛い・・・?


「それは聞き捨てならない発言だ、あれは誰にもやらんぞ」


「ふふふっ、冗談ですよ・・・すぐ本気にするんだから」


「お前の冗談程怖いものは無いんでね・・・(笑)」


「褒め言葉としていただいておきます(笑)」

 

残りのテーブルを片づけ会場を後にする


二宮に明日の連泊を告げると、まだやり足りないのか?と

あきれられたが・・・(苦笑)

一緒に暮らし始めてからどこへも連れて行ってやれなかったから

少しだけ・・・旅行気分でも味わらせてやりたい

単純にそう思った・・・

 


二宮の部屋の前辺りで、さっき会場で見かけた奴が

ドアを背に佇んでいた・・・・


足が止まり、思わず声をかけると

今にも泣きだしそうな瞳で何かを言いかけた

 

なんとなくその瞳がすべてを語っている気がして

気が付けば事の一部始終を聞き入っていた。

 

その男はマサキと言った

智をきれいにしてくれた美容師で

聞けば二宮に惚れているらしい

 

あいつ、ちゃっかりやることはやってるじゃないか

まぁ、ここまで智を連れてきてくれたお礼と

滅多に味わえない甘美な果実を喰わせてもらったことを

考慮してもおつりがくるか?

 

智とバカンスの続きでもと思って取り直した

スーペリアルームのキーを

マサキに手渡した

 

 

後で二宮を呼んでおくから

後悔の無いようにきちんと思いを伝えるように

余計なおせっかいを買って出てみた

 

 

俺らはこの際一緒にいられたら

何処だっていいから、何ならもっと狭いベットだっていい

狭くてくっ付いていられるのもまたいいか?

 

新たに発覚した俺の性癖を

智が知ったら・・・ひくかな?

 

まぁいい、俺は智さえいればそれだけで幸せなんだ

 

 

 

 

二宮に時間を告げて部屋のスペアーキーを渡す

俺と智からのプレゼントだと伝え、あとは好きに使えとだけ言っておいた

 

 

さて、眠り姫の目を覚ましに戻るとしますか・・・

 

コスモスの花がゆらゆらと楽し気に風になびいていた