小さなせめぎ合いをしている俺なんか
お構いなしに
男前の顔から
フワリと花開くように柔らかに笑いだす
智くん・・・・・
イヤラシイコト・・・・
なんて、到底考えもつかないような笑顔
そもそも、似つかわしくないのだ
「ふははははぁ、・・・翔くんって、ホント真面目だね、バカが付くくらい・・・クククッ」
ムッ・・・・
何とでも言ってくれ
そんなことは俺が一番よく知っている!
智くんのクルクル変わる表情が俺は大好きで
もっといろんな貌を見てみてたい
もっと・・・
いろんな声も聞いてみたい
もっと・・・・
そんなとき・・・・
智君からの挑戦状が付きつけられる
「・・・・・・翔くん、チューしてみる??」
・・・・・・・智くん
そんなこといわれたらさ、
返事なんて一つしかないじゃない!
ってか・・・それだけで終わる気が全っ然しないんだけど
責任とれないよ?
それでも・・・・・いい?
モゴモゴと口ごもっていると
「・・・・・・どうなんだっ、俺は準備ができてるゾ!!
・・・・・・・・・・・・。
準備ができてるぞって・・・・なんの?
「・・・・・・・ほら、チューしてみてって(笑)」
・・・・・・・・・・完全に、おちょくられてる。
「・・・・・・・智くん?本気で言ってる?」
「うん、本気も本気、おおホンキ(笑)」
そう言い終わると
マジで唇をつきだしてきた
・・・・・・・・・・・・・・・・。ここは、一つご希望通り
いや、待て、こんなにムードなないチューなんて
記憶に残るわけがない!!
やはり場所とそれなりの時間をかけて・・・・
えっ?
えっぇぇええ?
シャボンの馨りが一瞬俺を包む
真っ白いシャツの残像が目の前を過ぎていくと
プルンとした触感がした唇に当たる
そして二つの影が重なった・・・・・
「・・・・・・ん!!」
智くんが唇をつけたまま話す
「・・・・・翔くん、こういうときは目を閉じるもんだろ?」
突然のことに見開いたままの瞳を間近で覗き込む
智くんの破壊力は・・・・・
相当なもので・・・・・
語る言葉からは甘い蜜の馨りすら立ち昇る
「翔くん・・・・・・ムードないけど・・・・・ま、いっか」
俺の恋したマドンナは
綺麗で可愛くて何より
可憐で・・・・・・・
透けるようなその白き柔肌に
接吻を・・・・・
俺の・・・・・・・マドンナは
漢っ気満載の・・・・・・・
やっぱり気まぐれな
猫だった!!!
だが・・・・・
そんな猫もまた俺は好きで
このシチュエーションも嫌では無い!
ゆっくり離れていく智くんを
どんな顔で見ていたのだろう?
翔くんそんなによかったぁ?
って・・・・・・
その後もチューのおかわりしてくれたんだ
ははっ、・・・・・・・・俺ってとんだ
カンチガイ男だな
そのお陰で・・・・・・・
今があるのだが(苦笑)
「・・・・・・・もう一杯、いい?」
目一杯甘い顔してオネダリする俺
弾ける笑顔で応える智くん・・・・・・
ある晴れた昼下がりの
ひと時・・・・・・・
恋人まであと少し・・・・・・・



