俺は
黒い鍵を幾つも持ち歩く
自分の欲望を入れておくための鍵・・・・・
どういう訳か俺には
その手の人を引き付ける力が働いているらしい
幾つもの顔を作ることにつかれた俺は
その日の気分で選べるように
鍵を作った・・・
もちろん、実際には物理的な鍵なんてないのだが
正確には・・・・
心の鍵・・・とでも言っておこうか(笑)
今日はどの鍵にしようか・・・・
毎日それを選ぶのが楽しくて仕方がない
今日のチョイスは
赤
勝手に色分けをしている俺も
些か変態じみてきたといったところか?
奴には情熱的な赤が似合う
深紅の薔薇
黒により近い赤が
よく似合う・・・・
俺の心の鍵が赤に変わっていく
情熱的な逢瀬を楽しむために
一見紳士的なそいつは俺を一目見て気に入ったと
囁く・・・・
おざなりな言葉は聞き飽きた
もっと楽しませてくれるようなリップサービスくらい
用意してほしいものだ
この男・・・・朝まで俺につき合えるのか?
お手並み拝見と行こう
今夜のétudeは、上か?下か?
楽しい夜になればいいが・・・・
エスコートされて最上階のスィートルームに案内される
ふふっ、シチュエーションは悪くない
後は・・・・演出と、実技
心は要らないかな?
ただ、楽しめればそれでいい
さぁ、赤の君・・・・
準備はいいかい?
俺をその深紅の唇で酔わせて魅せて
その紳士的な顔の裏の欲望を
俺に見せてよ(笑)
引き寄せられ重なる唇
柔らかく温かく纏わりつく
吸いつくように求め始める唇を
一瞬離して赤の君に
囁く・・・・・
”Can you make me fly high”
それが引き金になったのか・・・
大きく輝く黒曜石のような瞳に欲望の焔がトモル・・・
”Why not?”
そう俺の耳元で囁く
ふふっ・・・
もちろん・・・か、逝かせられるって?
この俺を?
さて・・・・
どう踊ろうか・・・
今晩は・・・久しぶりに楽しめそうだよ
深紅のその唇で・・・・・
絡まる舌先に欲望の蜜の味を感じ
深く深くのめり込む
自己陶酔の世界への扉が開く・・・・
激しく揺れる動く波に飲まれ
解放される瞬間が・・・・タマラナイ
あぁ・・・・
いい・・・・
ふふっ・・・・だけど
まだまだだね・・・・
意識が飛ぶくらいに
貫いてよ・・・
もっともっと・・・ハゲシク
突き動かして
大きく仰け反り歓喜の声を上げれば
余裕のない端麗な顔立ちが歪む
その顔が見たくて・・・
もっともっと・・・とせがむ
あぁ・・・・・最高だよ
首に腕を絡ませ
深紅の唇を吸いつくす
黒い鍵は・・・赤一色となり
欲を吐きつくすまで絡み続ける
苦痛にも似たecstasyは最高のスパイス
激しさを増す息遣いで相手の限界を知る
さぁ・・・もうすぐフィニッシュ
乱れたシーツの上を泳ぐ
低く呻く声に続けて
熱い欲が吐き出される
ひと雫も漏らさぬように・・・
締め付けたまま離れる刹那
官能に歪むその貌に煽られ
俺自身も弾ける・・・・
甘美な夜だった・・・
荒い息のまま恍惚の表情をしている
その深紅の唇に
キスを落とした
こんな夜ならまた・・・味わっても良いかな?
そんな気分にさせてくれた
今夜の相手を抱きしめ・・・
欲望の証・・・纏りつく体液と共に部屋を後にする
俺を飛ばせる奴は・・・・
どこにいるのだろう・・・・
can you make me fly hight?
ドコニ・・・・イル?



