若いころのことを不意に思い返していた


創作していると時々フワッと

昔の情景が蘇ることがある




フフフッ、あぁ、あんときか・・・・



翔くん・・・



可愛かったな・・・・


目をまん丸にして


何真剣に机に向き合ってるのかと

思っていたら・・・・



フフッ・・・・んはははっ、









昼過ぎから突然訪ねてきた


翔くん・・・・・


手には似つかわしくない紙袋・・・・



なんだ?いきなり


何やらかすつもり?




驚く俺の横を鼻歌交じりで通りすぎ


ドカッと、ソファーに腰かける



ガサゴソと紙袋をあさり

中から取りだしたのは


一冊のノートと・・・鉛筆



??


ラップの歌詞でも書くのか?



怪訝な顔で翔君を見ていると






「・・・・あっ、俺のこと気にしないで?描いてたんでしょ?続けててよ」


ニマっと意味深な笑顔で俺を見る



・・・・・・なんだぁ?


まぁ、いっか・・・・(笑)






翔くんを残してアトリエに行く


デッサンのつづきを描いていると


サラサラと紙をこする音が聞こえてきた


ん?


一瞬顔を上げその音に耳を傾ける


テンポよく流れる音に混じって・・・時々舌打ち?(苦笑)



翔くん?なにしてるんだ・・・・





あえて・・・覗きに行くのはやめにした


なんだか同じ時間を共有しているようで


楽しく感じたから・・・・






しばらくすると鉛筆の転がる音がして・・・・


それから・・・・フフフッ、


イビキだ!



翔くん・・・・撃沈したな





俺はスケッチブックをもって

ソファーに向かった



案の定・・・・あどけない顔をして

居眠りしている・・・口開いてるし


イケメンなのに・・・・残念(笑)







窓から差し込む日差しが翔くんを映し出してすごく綺麗・・・・


翔くんの脇に座りありのままの姿を描きとめる

サラサラと紙の上を這う鉛筆の音

気づかなかったよ


こんな音がするんだね



翔くんといると

いろんな発見をする・・・・


面白い、翔くんてやっぱり・・・面白いよ


そんなところが好きなんだけどね



描き上げた画にサインをする


そして日付を入れた




月日がたちこの画を見たとき


日記代わりの自分の画を


どんな気持ちで読み返すことだろう



きっと・・・心穏やかになるに違いない



だって・・・・いま、俺の心は






とても静かだ・・・・・


それに、翔くんで一杯・・・・






ブランケットをそっと掛けて


転がった鉛筆を拾う




「ぅえっ!!??・・・・・・こんなんで描いてたの?」




笑いがこみあげて止まらない


デッサンは・・・・4B以上が普通


これって2Hじゃん!!!


これじゃ描けないって!!!




適当に買ったにしても・・・・


翔くんって・・・・やっぱり最高!!





一生飽きないだろうな・・・・










そう、その時思ったことは当たってる・・・一生飽きないと思うよ



今だって、毎日が楽しいもん


頭いいのに・・・ちょっと残念なのが

たまらなく愛おしい


今日も・・・そろそろやってきそうな予感


俺が描いている隣で


一緒になってへんてこな画を描くんだ


見ているだけで楽しい


背中合わせに聞く


鉛筆のこすれる音が・・・


俺、すっごく好き







”ピンポ~ン”




おっ、・・・・・画伯のお出ましか?




そうして今日も二人の「楽が気」が増えていく・・・・




小春日和の午後・・・・・


眩しい笑顔とともに


愛おしい人を迎え入れる