このところ、色々と忙しく翔くん不足ぎみの俺
触りたいのに、チュウしたいのに、そんなときに限って側にいない
わざとだ、きっと
いつもそんな時は
俺の気を引こうと
ウザいくらい遠回しにまとわりついてくるのに
たいてい、翔くんからねをあげて触れてくるのに・・・
今回は、ニヤニヤして見つめるだけ
いやな感じ!
だから俺からは催促してやらない
我慢するもんね!
丁度知り合いから飲みの誘いを受け意気揚々と待ち合わせ場所に向かう
すると、見慣れた後ろ姿発見・・・
(ニャロウ、知ってたな)
知り合いは二人の共通の知り合いでもあり
何度か一緒に飲んだこともあった
何事もなかったように席に着く
そんな俺をやっぱりニヤニヤ見つめるだけの翔くん・・・
向かい合わせに座りそれぞれが隣と盛り上がる
酒も進みいい具合に出来上がった頃
突然腕を掴まれ席を立たされる
「ちょ、なに?」
振り向けばニコニコ顔の翔くん・・・・
「ゴメン、明日俺等朝一なんで今日はこれで帰るね!」
「はっ?朝一ってそれお前だけだろ?なんで俺まで、」
「いいから、智くん帰るよ、タクシー呼んであるから」
「一人で帰れよ、俺はまだ飲む!」
「だめ~帰りますぅ」
がっしり掴まれた腕を引かれ
遠ざかる座敷・・・・手を振る奴等・・・・
拉致られるようにタクシーに詰め込まれる・・・・
「おい、なんだよ!なんで俺まで帰るんだ!」
「一人にしたら、またどうせ迎えに来なくちゃいけないでしょ?」
「翔くんになんか迎えに来いなんて電話しないもん!」
「するでしょ、いつだって・・・・(苦笑)」
「しないって!最近はしてないだろ!」
「はいはい、そうでしたそうでした(笑)」
俺が何を言っても聞く耳持たず
そうこうしているうちに翔くんの家に着ていた
「なんで、俺んちじゃないの?俺帰る!」
「はいはい、わかりましたよ、さっ、降りて、」
おい、人の話は聞けって
ふてくされている俺を慣れたように扱い座席から引きずり出す
足下おぼつかない俺の腕を抱えたままエレベーターに乗る
「智くん、もう降参しようよお互いに?」
突然何を言うかと思えば・・・・
「なにを降参なんだよ!」
そりゃあ・・・・翔くん不足気味だとは思ったよ
でも、俺からは絶対に催促しないって決めてるから!
「それ俺に言わせるの?いつも俺からじゃない!」
そうだよ、だから今回も翔くんからでいいはず!
なんだって俺が言わなくちゃいけないんだ!
ムスッとしていたら
いつの間にか玄関の前・・・・
このまま翔くんちに連れて行かれるのも癪だな・・・・
「・・・・・?どうしたの入らないの?」
「・・・・・・翔くんが連れてきたんだから翔くんが入れてよ」
「!!・・・・・ブフッ、智くん?・・・まぁ、いいか」
「おあぁっっ、」
ひょいと俺を担ぎ上げると靴を器用に脱がし
そのままリビングへ・・・・?を通り越して
・・・・・・んで、寝室に行くんだよ!!!
ポフッとベッドに俺を放り投げて、翔くんが上から覆いかぶさる
「連れてきましたけど?・・・・何か不満でも?」
耳元で囁く声に・・・翔くん不足が加わり・・・・
ピクリと身体が震える俺・・・・・
「だぁ~~、風呂、風呂入るから、どいて!」
「後からでもいいじゃない、どうせ二度手間になるし(笑)」
二度手間って・・・・・・おい!
耳元にフーフーかかる翔くんの息が熱くて・・・・
思わず漏れる声に・・・・
翔くんの目が更に輝く
まずい・・・俺の威厳がなくなる!!!
「ちょっ、翔くん、離せって一度離れろよ!」
「でも・・・・・智くんのここは、そう言ってない気がするけど?」
「うっ・・・」
俺を布越しになでつけるその手ツキがまた・・・いやらしい
「せ、生理現象だよ・・・いいから風呂!!!」
「・・・・・一緒に、は」
「イヤダ!!!」
翔くんは・・・クスッて笑うと珍しく俺を解放した
起き上がる寸前にチュッと軽く唇を寄せる
「あぁ、明日の予定ね、朝一なくなったの・・・だから、ゆっくりね!!」
イケメンがウインクしてる・・・・
「・・・・・・・・。」
道理で聞き分け良いはずだ・・・・・
ゆっくりなんて・・・・させてくれないくせに
気づけば鼻歌交じりにシャワーを浴びてる俺・・・・
結局・・・・俺には威厳などないのだ
意地張っても・・・・身体は正直に
翔くんが欲しいって・・・・・主張しまくってるもん
これ・・・・どうやって風呂からあがりゃいいんだ?
翔くんの嫌味な笑い顔が・・・・目に浮かんだ
