スズラン・・・・・




純潔・純粋


幸せが訪れる・・・・・









翔くん・・・・・・・



・・・・・・・・智くん







いつからか隣に立つことがなくなった

翔くん・・・



俺の事を嫌いになったわけじゃなく


俺の相手に気を使っている・・・らしい



そんな関係じゃないのに、少なくても


俺の中では・・・・・


ムシのいい話だといわれればそうなのかもしれない


だけど、身体を重ねれば重ねるたび


翔くんへの想いが溢れて・・・・・


自分にもどうすることも出来ないでいるんだ


『失礼な奴・・・・』


何度も言われた


誰を想って抱かれているのかって、


それを承知で始まった関係は


それ以上になる事はなかった


翔くんを・・・・・


俺の中から消すことなんかできなかったから


無理なんだ


だって・・・・



翔くんにしか感じない


低く掠れた甘い声

強く逞しい筋肉質な腕

均整のとれた背中から肩甲骨にかけたライン

ふっくらした厚くて柔らかい唇

大粒な瞳

柔らかな髪




目を閉じれば

そこにいるかのように

鮮明に思い描くことができる



脳裏に焼き付いている

俺の大切な・・・・・・




ちょっとした心の隙間に

入り込んできた人に縋ってしまったのかもしれない

想いを伝える勇気がなくて

閉じ込められた感情をコントロールできなくて

暴れ出したとき

手を取ってしまった



こんな関係から始まるものもあるのかと・・・

一度はあきらめようとした

だけど・・・・

どうしたって思い出してしまうんだ


隣で見続けてきた


翔くんの屈託のない笑顔を



欲しくて欲しくて仕方なかった思いを


翔くんに毒をもらえるのなら

一度だけでもいい

翔くんから・・・・・





そんな気持ちのまま

もう関係を続けることが無意味だと思って・・・


終わらせるために

全てを・・・終わらせたくて

だからその前に一度きりでもいい

翔くんを抱きしめたかった



もう一度あのころの翔くんを感じてみたかった




その日・・・・俺は落ち着かなかった


何とか翔くんに時間を作ってもらいたくて

だけど話しかけるタイミングがつかめなくて


気持ちは焦る一方で

時間が無駄に過ぎていくばかり


ワザと帰りの支度を遅らせて

二人になる機会を待っていた




時計ばかりが気になりだす




「お疲れ様、智くん」



えっ?あっ、待っていかないで・・・・


「・・・・・翔くん」



思わず漏れてしまった翔くんの名前・・・



「・・・・・智くん?」



心配そうに俺を見る翔くんの顔



話したいことがたくさんあるんだ


出かかったっ言葉を臆病な俺はそれ事のみこんでしまう



「・・・・・あっ、・・・・・・。」




真っ新じゃない・・・・

汚れた俺が翔くんをくれなんていえるわけない


後悔だけが残る・・・



翔くんの後姿を見るのが嫌で


翔くんが出ていくのを待っていた





不意に


近づく気配に顔を上げたとき


偶然触れてしまった唇


あっ、、と思ったけれど


俺からは離れることはなかった




そんな些細なことでもいいから


翔くんが欲しかった


ほんの一瞬でもいいから






・・・・・・・翔くんが離れていかない


なんで?


翔くん・・・・・俺


勘違いしてもいいの?


高鳴る自分の心臓の音がやけに大きく聞こえてくる

それとは別のもう一つの鼓動と共に・・・・・





翔くん・・・・・


ゴメン、


今だけでいい



翔くんを俺に頂戴・・・・・・