奏楽(ソラ)翔る藍~Gaia抱(いだ)く緋 ep.3 薫風








『ショウ!ヘタレショウ!』




「・・ん~ッ・・・・・うるさいよ~」












耳元でこの間から飛び跳ねるうるさい奴・・・・・



俺、なにげにこういう輩を受け入れてる(笑)


今までの俺じゃ考えられない


これも智くんの影響かな?




『ショウ、タノシソウ!』





「・・・・・お前名前なんて言うの?」




『・・・・・・』






「まぁ、名無しでもいいんだけどさ、どうせしばらく居るんなら


名前あったほうがいいじゃん?」






チョコチョコと布団の上を這い回るそいつを眺めていると


自分の分身のような気がしてきた。

だから、俺は名前をつけたがっているのかな?


自分と分けたいがために・・・・・











「翔くん?起きてるの?ごはん出来てるけど食べる?」



智くんがドアの向こうで声をかけてくれた

気づけばそいつの姿はなく


耳に心地いい智くんの声に同居の幸福感を味わっている





いつまでも同居のいきを超えてはくれないが

それはそれでいいのである




悪い虫がつかないように俺の目の届くところで

智くんを満喫できる贅沢さ・・・・・


神に感謝だね!!



一日中智くんを見ていられる、芸術家の智くんと


・・・・・・不思議な世界を(苦笑)











翔くんが来てから・・・・


頭に浮かぶ画が鮮明になってきた気がする


薄っすらだったり


形すら分からなかったり


あやふやな画像でしかなかったのに


この頃は


描きやすいんだ・・・・


近くに翔くんがいてくれると・・・


「厳禁だな僕も・・・・・ふふっ」




同居してくれて嬉しかった

何よりも助かってる事がある

翔くんの強い気がちっちゃな邪鬼を

入りずらくしてくれるから


いたずらされないで済んでいる(笑)


よく洗濯物とかなくなるんだよね


靴下とか・・・・


それからお菓子とか・・・・



翔くんきてからは別の意味でお菓子がなくなることが多い


早いの間違いか(笑)、


暇さえあれば食ってるもんなぁ



こうして何気ない日常の中に


大切な人と過ごせる時間がもらえるなんて


思ってもいなかった・・・・・


神様に感謝します






しばらくすると


寝ぐせのひどい頭を掻きながら


それでもイケメンの翔くんが部屋から出てきた


朝日に映しだされる翔くんはキラキラ輝いていて


眩しいくらい




そんな翔くんに


飛び切りの笑顔で『おはよう』と声をかける






心無しか少しだけ赤くなった顔を隠すように


手のひらで頬をおさえながら


僕の好きな声で


『おはよう』と答える



こんな朝がっずっと続けばいいな



そう願ってやまない(笑)






・・・・そう言えば翔くんの式が言ってた


ヘタレって・・・・何に対して何だろう?








夏の匂いのするそよ風が


部屋の中にサワサワ吹いていた