「翔ちゃん・・・・・」



「ん?・・・どうした?智」




「なんで・・・僕なの?」




「?・・・・なにが?」



「なんで・・・・僕を選んだ・・・の・・・?」






「智?・・・・」



僕に答えをくれなかった翔ちゃんが

急に遠い存在に思えた

翔ちゃんにとって僕の存在って
なんなのだろうとそればかり頭に浮かんで

思い切って・・・
勇気を振り絞って・・・

聞いたのに


なに言ってるんだ?


って、相手にしてくれなかった


それがこんなに引き摺ることになるなんて
自分でも思わなかったんだ

翔ちゃん・・・
僕はずっと好きなのに
そう言葉で伝えてきたのに

翔ちゃんからは・・・・
なにも言ってはくれない
僕を・・・大切にしてくれるだけじゃ
物足りなくなってきたんだ

翔ちゃんが・・・
欲しくて

そんな自分が浅ましくて

・・・・汚く思えて




僕は・・・翔ちゃんから逃げた








・・・・・ハナミズキの頃・・・・・ep1













僕が翔ちゃんのところに居候することになってから

もうすぐ半年になる・・・

相変わらず忙しい翔ちゃんに少しでも

疲れをとってもらおうと始めた家事・・・

器用な方だったから、見よう見まねで

何とか形になるような食事は作れるようになった

あと・・・Yシャツのアイロンがけも

上手になってきた・・・(笑)




翔ちゃんの喜ぶ顔が見たくて

・・・・いつの間にかそれが僕の

生き甲斐?になって・・・(笑)


居候と言っても・・・家が無い訳じゃない

一人暮らしを考えていたとき

偶然知り合った翔ちゃんと・・・

意気投合してそのままなんとなく・・・


そんな大胆な事をするなんて
自分でも驚いてる

人見知りのはずなのに

翔ちゃんは・・・・ずっと前から
知っているような
そんな雰囲気が僕を安心させた


酔ったまま上がり込んだあと・・・

よく覚えていないんだけど

翔ちゃんに・・・・


・・・・kissされたような気がしたんだ



それが僕の中にずっとあって

そのときから僕は翔ちゃんに特別な

感情を持つようになった


男だけど・・・


好きなものは好き・・


それだけでよかった


幸せだったんだそのときは・・・・・