しばらく個人での仕事が続き

特番でレギュラー番組の収録も2週休みとなる

久々のOFFをそれぞれがもらえることになった






本当なら・・・

きっと今頃二人旅していたのだろう

大野さんがパンフレット用意していたのを見ていたんだ俺






「なに?大野さん旅行でも行くの?」



慌てて持っていたパンフレットを後ろ手に隠す



!!あっ・・・そう言うことね(ニヤ)



少し赤くなった耳たぶが

愛しい人との時間旅行を物語る

そのページを開いては頭のなかで楽しげに

想像を膨らませていたのだろう(笑)




「べ、別に旅行とかじゃないし・・・」



自分で否定しているのに、さらに照れてる・・・

大野さんらしい・・・(微笑)




あの翔さんと旅行に行ったら

まず自由はないな(苦笑)

行き当たりばったりで楽しむ方法を編み出さない限り

修学旅行か、ウンチクツアーになり兼ねない


可愛そうに・・・大野さん



「な、なんだよ気味悪いな!ニヤつくなって、違うからッ」




「はいはい(笑)ハワイの二の舞だけは無しにしてもらったら?

あれじゃラブラブどころじゃないよ、

ホテル着いたら爆睡コースでしょ?」




「うっ・・・・・」



やっぱり?

って、顔で笑いながらため息つく姿が妙に可愛くて

どれだけ翔さんを羨ましく思ったことか




そんな光景を

またみられるようになるのだろうか?




翔さん・・・


自棄になるなよ・・・

大野さんの手を離すな、絶対に!





翔さんの代わりは誰にもなれないのだから










久々の休み・・・・

しばらく描いていなかった絵を描きだす

特になんの予定もなく外に出る気にもならない俺は

ここぞとばかりに制作活動を始めた

色々あって気晴らしになればと

集中していれば余計なことは考えないですむ・・・・




アトリエ兼寝室に入って見渡すと

なんだか画材が減っている気がした

スケッチブックや筆の数が足りない

描きかけの絵はあるがデッサンがない


あれ?どこかに持ち出したんだっけ?

イーゼルに立てかけてあった少し小さめの

キャンバスも無くなっている

こんなことってある?

誰かのところにまとめて忘れた?


って言うか、そんな大荷物運び出した記憶が・・・ない



そうだ・・・

潤の家に行った帰りに事故ったから

その時何か持っていっていないか聞いてみるか


これだけ少ないとさすがに気になる


アトリエを見回しそこにあったであろう物たちの

埃の無い跡を見つめていると

胸の奥からまたあの感覚がよみがえってきた




キュ~っとなる切なく甘酸っぱい感覚

なぜか泪が出そうになるんだ

そして必ず脳裏をかすめる顔の無い男性(人)



俺のことを知っている

そして俺の・・・大切な人なのだろう



君は・・・誰?