Satoshi is say to oneself.
お前が・・・俺を見つめる
その視線の変化に気づいたのは
いつからだろう
熱を帯びじっとりと纏わりつくようなその視線に
身体が吸い込まれてしまいそうになるのを
堪えだしたのはいつからだろう
いや、変わったのは俺?
お前はきっと昔から変わらず
俺を見続けてきたのだろう
いつまでも小さかったお前はもうどこにもいない
一回りも二回りも大きく成長し大人の男となって
俺の前に堂々とたたずむ姿に、その全てに
俺が惹かれていった
そう、変わったのは俺・・・・
お前との距離を置くことで
その思いから解放されようとした
だが、離れれば離れるほど募る想いに
どうすることも出来ず
流されるまま色恋に走った
お前でいっぱいになった心を
空っぽにしたくて・・・・・
そんな俺を
お前はどんな思いで見てきたのだろう
そんなことを想う資格など
俺にはもはや無いというのに
「未練たらしいな・・・・」
思わず漏れた心の声に自分でも驚いた
何も考えられないように
仕事に趣味に色に没頭した
眠る時間を失くすように思い出さないように
身体が悲鳴を上げようとも
それは続けられた・・・・・
お前のために
お前が陽の当たるところに居続けられるように
皮肉にも結果それが
お前を煽ることになっていくとは
思いもしないで・・・・
俺は人としての正論を常に吐き続けた
常識あるお前をこちら側の人間にしたくなくて
誰しもが認めせざる負えないくらいの正論を
俺は吐き続けた
お前が誰かと噂になれば幸せを願い
恋に破れれば心にもない言葉をかけ
励ます・・・・
見透かされているとも知らずに
そうしてお前は誰が見ても
俺に対しては特別な何かがある云われるほど
壊れていった・・・
静かにでも確実に
ねじまがった感情を隠すことなく
俺にぶつけはじめる
勿論俺は認めない認めたくはない
それが俺の正論だから
決して譲れないものだから
だが一方では壊れていく様を
俺の心は待ち望んでいた
何が正しくて何が間違いなのか
俺にはもう判断などできるはずはない
だが、それでも俺は正論を吐く
それが唯一俺たちを隔てるものだから


