翔さんが血相を変えて楽屋に飛び込んできた!

「ハァ~ハァ~・・・っ智くんは?」



「えっ?だいぶ前に出てったけど?待ち合わせしてたんじゃないの?」


「ん、ハァ~ハァ携帯・・・携帯出ない!切ってるんだよ電源!」



俺はニノと顔を見合わせる・・・・


「じゃぁ~、さっきの態度って照れ隠しじゃなかったんだ・・・」


「どう、どういうこと?」


俺はことのいきさつを翔さんに話した


何がリーダーをそうさせてるまではわからないが

とにかくご機嫌ななめで出ていったことだけは伝えた



洒落たスーツに身を固めた翔さん・・・・


あぁ・・・リーダーの好きな格好してきたんだ



映画の撮影も終わって


不精髭も剃ったからイケメンの発動ってわけか(笑)



オロオロしている翔さんに


「取り合えず、行きそうなところ探す?」

と、携帯で友人にメールをしようとしたら


「・・・・リーダー真っ直ぐ帰ったんじゃない?だってあの人

運転できないし、迎えがなければ電車でしょ?」


ニノがゲームをし乍ら確信をつく


「あっ、じゃ、じゃあ家の前で待ってみる・・・ゴメンお先!」



ガタン、スタン、と、あちこちぶつけながら俺等の前から

あっという間にいなくなった翔さん・・・



「・・・・・・。」


「・・・・・・。」





「あれ・・・相当焦ってますね」


「う、うん・・・ってか珍しいもの見た・・・」


普段とは違った一面を見た気がした


しっかり者の長男坊的存在の翔さん・・・


あんなに取り乱した姿見たことないかも



すごいなぁ~リーダー


完ぺき主義者にそこまでさせちゃうなんて!!!









くそっ~

せっかく早く上がれたっていうのに

どこ行っちゃったの?智くん・・・・!

俺のプランが(泣)







空はすっかり茜色

行きかう人の姿も薄暗くなっていく

人の波を車の中からぼ~っと見ていると

見慣れた猫背が歩いてくる・・・


・・・・・あっ、智くん!!


俺は急いで車を降りて智くんめがけて走り出した



「さとしく~ん・・・」



「翔くん!!!」



目をまん丸に開いた智くんの顔

でもすぐにその目は伏せられる


「なに、ここまで来て嫌がらせ?」


「はっ?嫌がらせって?」



「俺をはめたんだろ?ドッキリだよ、ドッキリ!!」


「あのぉ~・・・いってる意味がわかりませんが?」


ドッキリってなに?


何のドッキリよ?


「いいからお前もう帰れよ!気が済んだろ?」


そう言いながら俺の前から立ち去ろうとする

智くんを掴まえて




「何か勘違いしてるよ、俺はただ、智くんの誕生日を

その・・・二人で、二人っきりで祝いたかっただけなんだ」



「・・・だから、それがドッキリだろ?あいつらに言われたんだろ?」


あっ・・・まさかそれが原因?


「違うよ、智くん聞いて!俺が頼んだんだ!スケジュール何とかしてくれって」


俯いていた顔をフィッと俺に向けて


「なんのために?・・・」


「だから、この日のためだって!!」



眉間にしわを寄せている・・・


まだ疑ってるの?


「ほんとだって、信じてよ!」



しばしの沈黙の後



「・・・はぁ~、もったいないことを・・・俺は」



と、智くんがしゃがみこむ


顔を覆って大きなため息を一つ付くと


「俺んち・・・くる?」


と、下から覗き込むように俺を見るから


その仕草がまたなんとも可愛らしくて・・・・


もう断る理由もない(笑)


「うん、いく!」


とたんにパッと明るくなる顔色に一瞬ドキッとする



駐車場に車を止めるために智くんと一緒に乗り込む


助手席の扉を開けて智くんを座らせると



フフッと可笑しそうに笑った



「なに?」



「いや、そういやぁ、俺っていつもエスコートされてんなぁ~って思って」



「えっ、そうかな(照)?」



そんな俺を見てやっぱり智くんは可笑しそうに笑ってる


つられて俺も笑った



走り出しす車のエンジンの音にまぎれて聞こえてきた言葉



「・・・・俺、翔くん好きだよ」





キ===ッ



思わずブレーキを踏む


「んだよ、危ないよ翔くん!!」



「さ、智くん?いま、・・・今なんて?」


「へっ?だから、好きだよって言ったの。あっ、答えはいいよ


俺が、言いたかっただけっだから(笑)即答されても凹むからさ、」



なかなか走りださない俺に智くんが心配そうに覗き込む


「なに?そんなに迷惑だった?・・・翔くん?」


固まった俺は・・・・何にも答えられないでいる


夢じゃない・・・確かに智くんは俺を好きと言った


いや、・・・好きにも色々ある。


その好きは俺と同じ好きなんだろうか?


急に不安になった俺は


「さ、智くん・・・その、・・・好きってどういう・・好きなの?」



「・・・・・抱きしめてキスしたいって言ったっらどうする?」




照れ乍らでもしっかり話してくれる智くん・・・


気が付けば自然と左腕が智くんを引き寄せていた


「えっ?ちょっ・・ちょっと翔くん?・・・」



「俺も同じだよ・・・智くん・・・同じなんだよ」



智くんの身体から力が抜ける


俺の背中に智くんの左手がそっと触れる


このまま離したくない衝動にかられるが


智くんがそこは許してくれず車をちゃんと止めるよう促される


名残惜しく離す腕を名残惜しそうに見つめる智くん

あぁ・・・抱きしめたい!


本気で俺はそう思ったんだ。



ハンドルを持つ手に力が入る・・・・




あなたまで・・・あともう少し