
智君のいない時間に、なかなか馴染めないでいる
自分にいささかうんざりしていた
仕事上は、何事もなくこなして
会話も普通にかわす・・・いったい
一体いつまで続くのだろう・・・・・
習慣は恐ろしいもので、来ないとわかっているのに
二人分の食材を気づけば買い込み
来ないと知っていても決まった時間になると
スマホを覗くしまつ・・・・
我ながら情けない・・・・

智君の真意を確かめようともせず
うじうじ過ごす毎日に、半ば呆れかえってさえいる
「 おつかれさまでした~」
ZEROが終わって、帰りの車に乗り込む
いつもなら、ここであなたからのメールが入るは・・ず・・・
何気なく取り出したスマホに目を疑った
「えっ?・・・・うそ・・・。」
それは、智くんからの着信を知らせる
ブルーの点滅・・・・
まさかね・・・
でも、ブルーに設定してる人なんてあなたしかいない!
慌てて気を取り直してメッセージを見る。
『おつかれ翔くん、今日もイケメてたよ・・・あのさ』
・・・・。智くんからだった
泣きそうなくらい、嬉しくて馬鹿みたいに心が躍った
自分の心臓の音がこんなにも大きかったんだと
思うくらいに・・・・
スマホを持つ手が震える
潤んで、文字がよく見えない
何て送ってきてるんだろう・・・
読むのを躊躇する・・・・
恐る恐る読み進めて・・・・
目に飛び込んできた
『 会いたい・・・ 』
の、文字・・・・・
その瞬間、俺は行先の変更を伝えて
智くん家に向かっていた・・・・
翔くん・・・
会いたくて、来ちゃった。
鍵、なかったんだっけ・・・・・
今更だけど・・・どんな顔して
会ったらいいのかわかんないや・・・・・
もうすぐ、会えるね・・・
ごめんねって、言えるかな、俺。
指がおぼえている部屋のナンバーを押す
エントランスのドアが開き翔くんの家に向かう

やけに胸がざわつく・・・・
緊張してるのか、指先まで冷たく感じる
もう少しで
翔くんの帰ってくる時間だ。
待ち遠しい・・・・
翔くん・・・。