甘美なる狂気



公演の夜
清志がこれまで足を踏み入れた中で、天皇の宮殿は最も美しい建物だった。軒下には提灯が幾列にも吊るされ、それぞれが温かい光の輪を放ち、隣り合う提灯の縁にわずかに触れる程度だったため、大広間はまるで永遠の優雅な薄明かりに包まれているかのようだった。観客は絹の衣装を身にまとい、儀式にふさわしい装いをしていた。彼らの表情は、感動を期待しつつも、容易には感銘を受けないことを示そうとする、独特の表情を浮かべていた。

清志は3日早く到着し、まるで音楽家が新しい楽器を習得するように、宮殿の構造をじっくりと観察した。ゆっくりと、慎重に、人目を引かないように、音響効果が独特な場所、壁が湾曲して音が予期せぬ方向に伝わる場所を探し出した。彼は舞台左側の後方の柱の背後にある、広間のどの席からも見えない影を見つけた。そして、その影から舞台中央までの正確な距離を測った。

公演の夜、彼は暗闇の中で着替えた。質素な黒衣をまとい、背中には黒竹笛を担いでいる。彼は観客がホールを埋め尽くす前に到着し、影の中に身を潜め、まるで10年間待ち続け、最後の1時間が最も楽な時間だと知っている男のように、静かに待っていた。

渚が現れると、観客は一斉に立ち上がった。彼は明らかに成功を収め、年齢を重ねた風格を漂わせていた。常に彼の中にあった自信は、まるで仕立てられた服のように、彼がなりたいと決意した男の姿に完璧にフィットしていた。冬の日の出のような色の絹の衣をまとい、楽器は輝いていた。彼の笑顔は大きく、気さくで、誰にでもなく、すべての人に向けられていた。

清は影からその様子を見守り、10年間彼を突き動かしてきた冷たい忍耐とは異なる感情を初めて感じた。悲しみ。真摯で複雑な悲しみ――自分自身のためではなく、渚の内なる飢えが別の方向に向かっていたら、どんな人物になっていただろうかという悲しみ。もし渚が清と同じ情熱を、何か誠実なもののために注いでいたら、彼自身も並外れた存在になっていたかもしれない。才能は本物だった。それを生ませられなかったのは、彼の性格だった。

観衆は静まり返った。渚は楽器を掲げた。会場は息を呑んだ。

清志は影から姿を現した。

彼は急ぐ様子もなく、名乗りも上げなかった。

ただ舞台中央へと歩み寄り、黒竹笛を手に、そこに立ち、待った。

渚は彼を見た。彼の表情は幾重にも変化した。まず認識、次に信じられないという表情、そしてその両方を覆い隠す何か、十年にもわたる嘘の積み重ねが、突然、自らの身に危険が迫っていることを悟ったような表情。


「あなた…どうしてここに?何を…」
清志は笛を唇に当て、演奏を始めた。


真実を語る音符
彼が最初に奏でた音は、長く、重厚で、まるで天候のようにホール全体を包み込んだ。威嚇的ではなく、ただ揺るぎない音。山が動かないように、一度語られた真実が揺るぎないように。聴衆は完全に静まり返った。後になって、音楽的に何が起こっているのか理解できなかったが、何か真実が語られていることを即座に感じた、と言う人もいた。

続いて奏でられた曲は、巻物に記されたどの曲とも異なっていた。巻物の音楽は癒しをもたらす。この音楽は真実を明らかにする。それは、悲しみと忍耐、そして信頼していた人に最も大切なものを奪われた人の長く苦しい苦しみという、独特の形から紡ぎ出された旋律だった。それは清志がこれまでに作曲した中で最も正直な曲であり、彼がこれまでに感じた中で最も正直な曲だった。


宮殿に音楽が満ち溢れる中、渚が絹の衣の内ポケットに忍ばせていた盗品の巻物の中で、何か奇妙で古の力が蠢き始めた。巻物の魔力は彼らの誰よりも古く、清の旋律の中に真の持ち主の署名を見抜いたのだ。音楽は、水が水を呼び寄せるように、ある声で呼ばれた名前が眠っている人を目覚めさせるように、巻物を呼び寄せた。

巻物は燃え上がった。ただの炎ではない。深く青白い炎、冷たく見えるが紛れもない炎が、紙をあっという間に焼き尽くした。渚がポケットに手を伸ばし、驚いて手を引っ込めた時には、そこには冬の空気に舞い上がる息のように、淡い灰だけが残り、やがて消え去った。

観衆はそれを見守っていた。何が起こっているのか分からなかったが、目の前の出来事が重要な意味を持つことは分かっていた。

渚は舞台の中央に立ち、両手は空っぽだった。そして、演奏しようとした。指が楽器を見つけた。演奏しようとしていた曲の冒頭部分を、指はゆっくりと動かした。そして、何も生まれなかった。間違った音符どころか、何も。音程も優雅さもなく、ぎこちない、音楽とは無縁の音。周囲の人々は顔をしかめ、困惑と不安の表情で互いに顔を見合わせた。

彼は再び試みた。結果は同じ。そしてまた。試みるたびに、前回よりも悪くなり、そのたびに、夜から彼から幾重にも重なったものが剥ぎ取られていった。ついに彼は、借り物の絹の衣装を身にまとい、手に灰をつけ、本来彼の才能が発揮されるはずだった場所に沈黙が広がる中、国で最も権威ある聴衆の前に立っていた。

巻物は渚に音楽を与えたのではなかった。

ただ、彼に貸しただけだった。

そして今、巻物はそれを返した。

清志は笛を下ろした。広間は静まり返っていた。聴衆が待っている静けさではなく、何かを理解し、その理解と共に座っている聴衆の、より深い静けさだった。

彼はゆっくりと渚の方へ歩み寄り、声を張り上げずに話せるほど近くに立ち止まった。彼は、かつて最も親しい友人であり、家族にとって最も大切なものを盗み、その盗みを土台に10年にも及ぶ輝かしい成功を築き上げた男を見つめた。それは、悲しみを乗り越えた人を見るような眼差しだった。憎しみでもなく、勝利の喜びでもなく、長く困難な旅路を終えた者の、澄み切った穏やかな瞳で。

彼は四つの言葉を口にした。

「あの音楽は、決して君のものではなかった。」

彼は静かに、ほとんど優しくそう言った。まるで、相手が既に知っている真実を伝えるように。真実は力ずくで伝える必要はない。ただ、伝えられるだけでいいのだ。

そして清志は振り返り、舞台の端へと歩き、ホールの脇の影の中へと足を踏み入れた。観客の一人が後を追おうとした時には、影の中には山霧の微かな香りと、まだ空気中に漂う音楽の記憶以外、何もなかった。

彼は去った。使用人用の廊下を通り抜け、大きな門をくぐり、彼が誰であろうと気にせず、ざわめきながら動き続ける夜の街へと戻った。

彼は都の通りを長い間歩いた。急ぐ様子はなかった。街は明るく賑やかで、彼は静かに、楽器を携えた黒衣の一人として歩いた。そして、14歳の時、暗闇の中でむき出しの床に座って以来初めて、軽やかさを感じた。正確には、幸福感でも勝利感でもない。ただ、軽やかさ。あまりにも長い間背負っていた重荷を、ついに下ろした時のような軽やかさ。その重さに気づかなくなっていた、あの感覚だ。

山がずっと知っていたこと
彼はすぐに村に戻らなかった。富士山がはっきりと見える場所を見つけるまで、北へ二日間歩き続けた。雪を冠した巨大な山全体が、まるでずっとそこにあり、これからもずっとそこにあり続けるかのように、朝霧の中からそびえ立っていた。

彼は平らな石に腰を下ろし、演奏を始めた。啓示の歌ではない。巻物に記された癒しの歌ではない。それらは巻物の灰とともに消え去り、記憶を頼りにゆっくりと、根気強く再構築しなければならなかった。必要なのは、彼自身の音楽、新しい音楽だけだった。人生の一章を終え、次の章がどんな内容になるのかまだ決まっていない時に訪れる、そんな種類の感覚。

それは彼がこれまでに作った中で最高の音楽だった。