一人の力 | The passenger of life

The passenger of life

人生という小さな小舟に乗りこんだたった一人の乗客。行き先を決めて進むのは自分。僕は人生をどこに向かわせるのか。流れにまかせるのか必死に舵をきるのか。さあ、どうなる?自分。

僕は京王線から丸の内線に乗り換えて通勤しています。

乗り換えの際に通過する通路に、一人のお坊さんが立っています。



朝はいませんが、帰りにはいつもいます。

いなかったことなんてあるんだろうか・・・というくらい毎日います。

それももう何年も。



いつも決まった場所で小さな声でお経を唱えて、ただそこにいます。

ときおり話しかけられているのを見ることもありますが、基本的にはただお経を唱えてそこに立っています。



なんのためにあんなことをしているんだろうか。

とずっと考えてきました。



その答え・・・というか、お坊さんの力というべきことがひとつ分かりました。



僕は今日、こう思ったのです。

こんな人ごみの中、毎日毎日そこに立ち続けるなんて俺にはできない。



こう思った瞬間に、このお坊さんがここに立ち続ける意味がわかったのです。

決してお坊さんがそれを目的にそこに立っているわけではないのですが、不特定多数の人に教えを諭すというか、悩んでいるひとの背中を押すというか、そういう力がそのお坊さんにはあるんだと。



つまりこういうことです。

毎日どんなときもそこに立ち続ける。

それを見ている人はそのすがたを見て、なにかしらのことを感じる。

そして僕のような思考を持つ。





あの場所では今もあのお坊さんは立っている。

そう思うと「がんばらなければ」と思うのです。



お坊さんは基本的には手を差し伸べたり、説法をするわけではありません。

でも、長い間その姿を見ることで、少なくとも僕はそのお坊さんから教えを得たと思います。



なにもしない、ただ立ち続けることで誰かを救っているのかもしれません。

もしかしたら、そのお坊さんの姿に命を救われた人もいるかもしれません。



西口の通路にいるお坊さん。

話しかけることはこれからも無いと思うけど、彼の前を通りすぎる時は心の中で手を合わせようと思う。