もう11月も半ばになって来たけれど

いつもの冷え込みは まだやって来ていない

今年も 鮮やかな紅葉は 望めないかもしれない

 

でもロンドンではもう気温もかなり低く みごとに紅葉しているようだ 

 

イタリア人女性 S さんとの日本語のレッスンは

今年の春から始まった

彼女は今ロンドンで一人暮らし

コロナ禍の前に縁があって その頃は我が家に来て日本語を勉強していた

日本文化と語学が大好き!!

 

私がスカイプやズームを始めたのは 2年前の事

まだまだ上手ではないので

第一回目を始める前に 彼女から詳しい使用方法を習った

ズームの招待も いつも S さんにお願いしている💦

(いったいどっちが先生なのか🤣)

 

そしてまた ロンドンのサマータイムが終わったときも

今までこちらで午後5時からだったのが

4時からになるのか 6時からになるのかと

バタバタしてしまったなぁ

 

レッスンのテキストは彼女が選び pdf で送ってくる

レッスン中は 質問がバシバシ飛んでくる

その場その場で適切な例を 頭の中で選びながらの答は

かなり 鍛えられる

答え足りないところは 後日「復習プリント」を作って

説明を補足し 必要ならば英語の説明を加えて 添付ファイルで送る

とにかく と~っても楽しい

こんなモチベーションの高い生徒さんに教えることができるなんて

何と幸せなことだろう

 

先日 S さんからラインが届いた

  E 子先生 「紅葉狩り」は「こうようかり」?

  それは、どんな言葉ですか 意味や使い方を教えてください

 

そうか、まず「こうよう」って読んだり、「もみじ」って読んだり

その時によって違うから難しいよね。

それに、「狩り」の意味も本来の意味と違ってきているし…

 

どうやって説明しようかと 頭を悩ませ

返事のラインを送った

  まず、この場合は「もみじがり」と読みます

  きれいに色づいたモミジを見に行くことです

  「狩り」は元々動物をつかまえる時に使った言葉だけれど

  次に 果物を収穫するときにも使われるようになり

  今では「鑑賞」することにまで 意味が広がりました

  でも「桜狩り」とは言わないんですよ

 

するとすぐに返事がきた

  あー面白い!! ではイチゴとかに使えますか

すぐに色々と例を出して考えるのが彼女の素晴らしいところ

 

  はい、動物を狩るのが第一段階だとして

  果物に使うのは第二段階の「採る」の意味ですから使えますよ

  いちご狩り、みかん狩り、りんご狩りとかね

 

翌日  様々に色づいた紅葉の 風景写真を送ってくれた

楓の木には色々な種類があるようで 黄色や赤に色づいた大きな葉がみごと!

彼女の部屋は 色や形の異なるきれいな葉が一枚ずつ 白い壁に貼られ

テーブルには 黄色と真っ赤な楓の葉を差したコップが置かれていた

 

忙しく仕事をする中で 

こんなにも秋を満喫している彼女の暮らしぶりに感動

 

また 彼女の通う会社の写真を見ると 何ときれいなたたずまい!

日本でよくみられる オフィスビルの感じではなく

背の高い樹木に囲まれた 二階建ての建物

前庭が広く その手前に 広い池も見える

彼女はその池にかかった橋を渡って通勤しているという

 

何だか 会社に行くだけで 散歩しているような気分になりそう

こんな所なら 仕事の焦りも感じないだろうな と思ってしまう

首都ロンドンなのにね

日本の大きな都市では 想像できないことだ

 

それぞれの国の暮らしぶりに 色々と考えさせられる

 

 

翌日 S さんからのライン

  色々勉強できて面白いです

  きのうは また 近くの紅葉をみながら散歩しました

  松の木もたくさんあって 「松狩り」をしてきました

 

う~ん……すぐに新しい言葉を使ってみるのが S さんの素晴らしいところ!!

だけど 「桜狩り」がないのと同じで 「松狩り」もないなぁ💦

私が悪いわけじゃないのは分かるけど 何だか申し訳ない気分で返信した

  私の知る限り「もみじ狩り」以外は 鑑賞の意味で使われないんですよ

  日本語 難しくて ごめんね

 

すぐに「分かりました」の言葉に 笑顔のマーク 3個添えて送られて来た

 

言葉は、使う人々の風習や思考を大いに反映する

また時とともに変容していく

言語を極めようとすればするほど 様々な壁につきあたる

 

でもいいのよ

どんな言葉を使っても そこに「つながりたい」と思う心があれば

それはきっと 通じるから

 

そして言葉は変容するものだとすれば

美しい言葉を作っていくのは 私たち自身なんだから

 

ロンドンに比べると 日本の遅い秋

所々に色づいた ナンキンハゼの赤い色を見ながら

美しい言葉を使える 平和な世の中が続きますようにと

祈りながら 歩いた