THE★落花生 第8回公演『木更津シンデレラ』
シンデレラとは何だろう?
恵まれない女性が、幸福をつかむ話だと思う。
それが幸福かどうかは実は分からない。エンディングで幸福だと決められているから幸福なのだ。
それは被抑圧階層としての女性の願望を代弁しているのかもしれない。
変身願望ではなく、当然の要求が成就されることへの願望である。それが階層性を基盤にする王室に帰着することは、結局階層性を打破できない悲しみを表現するとともに、女性の抑圧は永遠に解けないことを暗示しているようだ。
当劇団の本を書いている小泉喬平氏は、誰でも知っている題材あるいはテーマを解体し、別構築することに快感を感じているように見える。それは観客との共感関係の上に成り立っている。
今回は木更津から幕張へのロードムービー(劇だからロードプレイか)で、高校時代の恋愛模様が貧しさ故に旅立ちの契機となるという設定である。
場所は幕張のキャバクラであるが、そこで恋をすることが人生にどれほど大きな意味があるかを主張する。しかし、恋をすることと、恋愛関係になることとは根本的に異なる。
恋は突然発生するが、その先の恋愛になると承認願望が生まれるところが難アリなのだ。
恋の成就とは何なのか?
あたかもシンデレラの願望達成と同意義にあると設定できる。
成就など幻想で、あり得ないとしてしまえばいいものを人はその弱さ故にそれを求める。そして、それに拒まれると生地を後にするのだ。
シンデレラになれそう、というセリフは長い抑圧の歴史を背負わされた女性特有のものであろう。それは悲しく切ない。
またシンデレラ役の女優が表情をほとんど変えないところも結局はその悲しさを表しているように思えた。
そして、人はどこに戻るのかを問うている。
帰着地点は簡単だ。
否定したかった自分だ。
ところが舞台は数多くのロマンスに彩られている。
これは本の巧みさだろう。役名や多くのくすぐりが計算されていて、本を読んで再鑑賞したいと思わせる。
選曲を含めてSEがいい仕事をしていた。
役者が演出の意図をよくくみとっていたように思えた。
個人的にはキャバクラ「幕張ビビデバビデブー」のママが店を開いたら是非行きたいと思った。
2014年9月6日から7日 阿佐ヶ谷かもめ座にて
作・演出:小泉喬平

