アメリカと日本の「温かさ」の違い 2008年01月15日
アメリカと日本の共通点はGNPが高いにも関わらず貧困率が高いことにある。
これは格差社会と「冷酷な社会」を反映している。
ところが、アメリカと日本は基本的に違うという人がいる。
マルガリータ・エステベス・アベハーバード大准教授(比較政治経済学)である。
彼女はデンマークを代表とするヨーロッパ社会は
「自由主義的な市場と大きな福祉国家機能が共存している」と分析し、
実はアメリカも「大きな非営利部門が共存している」と言う。
そして「経済社会がきちんと機能していくためには、社会が社会として維持される必要がある」とし、
「国家の福祉機能が小さいアメリカでは、ヨーロッパ諸国で国家が果たしている社会維持機能を大きな非営利部門が担っている」と指摘する。
ここで言う非営利部門とは、宗教的な慈善団体や、宗教と関係のない団体だと言う。
だからアメリカでは
「いったん市場で失敗した人を排除しない余裕がある」と言い、
「市場は、社会や国家の福祉機能機能抜きでは存在しない」と断定する。
そしてアメリカは日本よりはるかに「温かい」社会で「個人を人格として尊重する社会的素地があり、個人よりも家族・学校・会社という団体を尊重する日本とは大きく異なる」と指摘する。
日本は
「良い団体に所属できさえすれば、社会的公正などについては考えない」
「事業の失敗や経済苦は「恥」であり、失敗した個人を排除する」
と定義し、
日本には
「個人を尊重する個人主義が必要で」
「公的なセーフティーネットとの組み合わせで経済改革を進めるべきだ」
と提案する。
確かに日本に対する分析や提案は納得できるものが多い。
しかし、アメリカを「日本よりはるかに温かい社会」と言うのは事実なのだろうか?
マイケル・ムーアの「シッコ」に見られる経済力による医療格差は日本よりはるかに苛酷に見えるし、戦争格差(経済的底辺層が軍のリクルートに応じ戦死していくという生命格差)や若年先住民族の自死率の高さなどを見るとそうは見えないのだが。
どちらにしろ新自由主義経済の大きな実験場としての関心は高い。