生殖医療と子どもの権利条約 2007年11月01日
ある有名人がアメリカで代理出産(サロゲート)し、実子としての届け出問題があった。有名人であるがゆえに「届け出問題」が発生した不条理感も持ったが、それ以前に子どもの権利条約(以下条約)との関係が気になっていた。
雑誌「自由と正義」10月号の特集のひとつが「生殖医療技術の利用に対する法的規制のあり方」で、たいへん興味深く読んだ。
現在の生殖医療は私が考えていたほど単純ではなく、小町谷育子氏(二弁)によると、「精子提供」「卵子提供」「胚提供」「代理懐胎」とあり、法整備もほとんどされていないと言う。
中でも加藤高志氏(大阪)の論文が条約に触れていた。
限定的に代理出産が認められた場合、それは「子どもの引渡し契約」であり、妊娠・出産する女性に対する「出産までの過程を規律する契約」であると言う。
「子どもの引渡し」という表現は衝撃的である。
加藤氏も言うように「子どもは一個の人格を有した人間である」、そしてこれは条約35条に抵触の可能性があると言う。
35条は「児童はあらゆる目的のための又はあらゆる形態の売買または取引の対象とされてはならない」となっている。
この問題は「自分の遺伝子を引き継ぐ子を持つべきという(わが国の)風潮」や子どもが欲しいと思う人の切実さ、優性保護意識やダーウィニズム、生殖ビジネス等の問題からなかなか難しい問題である。
増田聖子氏(愛知県)はこう警鐘をならす。
「専門的で理解困難、倫理の問題、としてルールを作らず現状を放置すると、生殖医療技術は不妊治療の枠を越え、生命操作に食指を伸ばしていくだろう」