映画『夜の終わり』
谷口千吉監督作品の特別上映。
1953年の公開。農村部から東京に出て来た貧しい真面目な下水工夫をやっている青年が犯罪者になってしまう。新橋駅周辺がメインでオールロケ。十仁病院の向かいが川(外濠川だと思う)だった時代。いくつかのプロットが重なる。新興ヤクザの松野(清水将夫)との出会い、職長(志村喬)の家、鳩の街での子持ちの娼婦(三益愛子)との出会い、(佃島)相生橋派出所警官(藤原釜足)などから人の心を感じ自首する。一日の出来事なので展開がやや無理があるが、誠意を感じる。
池部良、三益愛子が好演。菅井きんのホステスも面白い。美術(松山崇)はさすが。セリフ(脚本は菊島隆三)も重みがある。
公開は戦争に負けて7年しか経っていないとき。
多くの人が戦争の矛盾と敗戦後の貧困に向かい合っていた時期。農地改革の記憶もあるだろう。
巡査が残り物を浮浪者(当時の言い方)に届けたり、少なくとも持たぬ者同士が助け合っていた時代かもしれない。戦争が資本家が起こした資本蓄積のための行為と対比するような気がする。
貧しい者に対する共感のあった時代。現在は貧しさを不可視化する時代。