2013年度東京都高等学校演劇中央発表会 その3 | leraのブログ

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都立 駒場高校

『さよなら、解散。』(佐藤小春部員作)

 オープンの動き、こういうものが見たかった。日常全てが稽古、練習の場、それを演劇にした全員演劇はすごい。引き出しが多く同じことをしない。一人では出来ない世界。メイン以外も緻密。ブロードウェーの世界のように演出が細かい。

 本は閃きに溢れている。現場の作り方を感じさせ、行ってみたくなる。振り付けとあるがダンスでパフォーミングアートと思える。開かれた作品。人間ではないプランクトン、セミなどの視点はスケール感の表現がおもしろい。なくてもいいがグレープフルーツころがしは作品が開かれている。センスプラスラスひらめきが身体に落ちている。

 借り物感がなかった。(ニナガワ、ノダ)日常生活をどう咀嚼するか観察している。それも自分だけではなく相対化されている。太宰の『女生徒』が始まったと思った。演劇としての身体獲得となった。手拍子、足音、などが通奏低音になり体の中にキャストが入ってくる演劇の力を感じた。主人公と補欠だが全員が必要な演劇。短いセリフが効いていた。すね毛の話しなど、女生徒の会話がリアル。声が小さい。オープンからの10分全体が小さい。ストップがスタンプに、キドクがキロクに聞こえた。

 稽古が進むと音響のレベルチェックができなくなる。それだけを見る者が必要かも。セリフ、音楽、オーバーフローもあるだろうが明確に。

 全員がひとつの生き物に見えた。埋葬に十字架しかし読経その上の拍手など、不調和音がよかった。



桐朋女子

『お鼻畑で愛されて』(はとり部員作)

 花(私は見ていないので鼻かもしれない。以下花と鼻を斟酌されたし)の着ぐるみ楽しかった。期待感があった。後ろの花たちに細かい演出がなかった。リアクションが野放しだった。

 ビジュアル的にドンと来る。しかし芝居の中で積み重ならなかった。後ろの花に目が行ってしまう。不条理の作り方として、ディティールの積み重ねで面白くなる。着地点が見えなかった。着ぐるみは出オチ感がある。面白さをもっと追求すべき。

 鼻をなくす主人公、自分を見失う人、ほとんどの現代人が当てはまる。電話の会話をきちんと書くべき。

 演劇をやっていていい時はウケてる時。しやべっている人を支えることが大事。

 赤いスカート、なぜピアノにいるのか?名前は分からない、弾くことができた、このシーンを作れたことがよかった。



拓殖大学第一

『妄想カタカタ。』(戸門真奈美部員・坂本恵理部員作)

 ダンス、歌、生ピアノ、感心した。少女マンガの世界に浸ることなく客観視してよかった。座長がうまい。母になった時遠隔操作のセリフは変。ならば、主人公ともっと会話ができたのでは?下の布がシワシワで気になった。集団では堂々としているが、一人のセリフは気弱。ダンスのパワーをなくさずに。

 セットがシンプルで効果的でチームがなれている。ツボを心得ている。自分たちの楽しさが伝わる。衣装キレイ、ネタの照明よかった。母のセリフのように、コントロールができたならばとっくに会話できているだろう。何を見せたかったのかが分かりにくい。

 ゲームにはまり創造主になるというところ現代の演劇だと思う。肉体が必要なミュージカルとしてよく作っていた。ネットで現実は正義かというテーマの取り上げは、現実提示(再現)で終ってしまった。答えはなくていいから、どう変えていくかを見せて欲しい。

 ミサキ裁判、客は誰に感情移入しているかを意識すべき。それは客観的な目をどれだけ入れられるかということ。セリフひとつで動くものではない。

 演劇にはそれぞれの学校の色がある。ミサキ悪乗り、むちゃくちゃ、もっと壮大なコメディでもよかった。



都立 立川高校

『煌めく星の隋に』(玉井祐樹部員作)

 心がホッコリとした演劇。大人がやってもいい。笑いどころよかった。女の子役違う形で出してほしかった。おじいちゃんチャーミング。

 手堅くまとめた。演劇の面白さ知っている練られた本。群像劇で日中問題に切り込んだ勇気と姿勢がいい。

 時間、空間の移動がいい。ハケ方うまい。花火を照明で表現し客に具体化せず、客の頭の中で描いた点クレバーだった。

 場転が機械人間的だが、全体の色に合うか?

 セリフよく役者丁寧。中国に対し「(報道は)知りもしないくせに」と指摘。人と人の繋がり、考える努力必要、これら一石を投じるのが演劇の力。可能性を秘めている。等身大ではなく背伸びをしたと思うが大事なこと。臆せず高校生を自覚し背伸びした演劇を作って欲しい。体を通して世界に目を向けてほしい。



審査結果

関東大会推薦 都立 駒場

国立劇場推薦 都立 立川

研究会会長賞 東大教育学部附属

脚本賞 都立 科学技術

美術賞 麻布

スタッフ賞 都立 富士

 スタッフ賞は東京芸術劇場シアターイーストのスタッフの皆さんがチームワークのいい学校に贈ってくださった賞。副賞としてドイツ土産のスタッフキャップ、照明の色、手で操るバードコール(熟練すると10種類以上の鳥の鳴き声が出せる。SEばかりに頼るなという意味)



 今回私は大変稀有な体験をした。

 芝居を見ずに講評だけを聞いたからだ。厳密に言うと地区発表会の時の京華学園と麻布学園は観ているが、当然違っているだろう。特に麻布に関しては地区発表会の時の講評者の提案をどう処理したか知りたかった。


 そこで思うのは芝居が見たいというただそのことだ。これらの芝居は見られるのだろうか?芝居は一期一会である。それは知っている。ただ目の前に夢のような可能性だけ示されるという現象は大変体に悪い。

 講評を聞いていて後半は憂鬱になってしまった。


 今回は中央発表会推薦校が24(昨年は12)もあったために劇場を二つに分けた。そして、どちらも昨年より小さな小屋になったので一般の人が見られなくなったのだ。残念だが生徒中心に考えたらそうなるであろう。今後の工夫に期待したい。