歌舞伎『不知火検校』 | leraのブログ

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歌舞伎『不知火検校』




 実際の題名は沖津浪闇不知火という宇野信夫作の新歌舞伎である。そして昭和35年から3回しか演じられていない。その全てが勘三郎(17)の主演であった。





 今回その通し狂言を松本幸四郎が初役で演じると言う。





 午前の部では河内山宗俊を演り、夜の部でこの不知火検校を演るので、「悪の花二輪」と話題づくりもしたものである。





 歌舞伎にはピカレスクが多くあるが、幸四郎には元禄忠臣蔵や義民伝など「いいもんのリーダー」のイメージがあり、それが逆に興味を覚えることにもなった。





 歌舞伎には色々な「悪」が出てくる。





 「油殺し」ではどうしようもないろくでなし、「三五大切」や「籠釣瓶」では嫉妬に狂うもので、どこかに弱さや愚かさがある。ところが不知火はそれこそ本当の「悪人」なのである。しかも狡猾で賢く、人の弱点を極力利用する。





 最後の啖呵で「お前たちみたいに、なにもできず、くそばばあやくそじじいになってしまう、なんと不憫なやつら」と嘯くキャラクターはなかなか見つからない。


 河内山の啖呵は権威に対してのもので基本的に違う。





 新歌舞伎であり、それほど演じられていないために「通し」にならざるをえず、よって筋を追うことに終始したきらいはある。見せ所、きめ所などを配し、ある程度「通し」から離れる冒険も必要かもしれない。(勘三郎のものでも、414場や614場、今回は214)





 ただ舞台装置には目を見張るものが少なくない。





 特に「横山町検校の居間」の二階建て装置は出色。





 他に馬が主人公で巌谷小波作の舞踊「馬盗人」。確か三津五郎(今回病気欠演)が前回で馬をやっている役者の名前を出したと記憶している。





 まるで狂言のような舞台で、客ウケはすごくいい。





九月大歌舞伎 2013.9.1-9.25新橋演舞場