劇評『象』 | leraのブログ

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劇評『象』



 舞台は夥しい衣類で覆われている(20103月の公演と同じ美術)


 数多くの死人、あるいは死に見える。それはアウシュビッツの衣類の山を連想したからかもしれない。

 しかし、少し、違う。極彩色なのである。



 アウシュビッツの衣類の山も原爆投下後の惨状も単色のイメージがあり、極彩色ではない。


 この極彩色は、311の瓦礫のイメージだ。


 徳永京子も朝日新聞の劇評で同じことを言っていた。


 役者は、その衣類の間に寝るように隠れ、セリフを発するときむっくりと起き上がる。あたかも死者が甦るようにも見える。


 また、セリフが終わるとばったりと衣類の中に倒れ込みびくとも動かない。


 原爆のケロイドを見世物にしていた病人は、それに対する拍手の減少に悩む。


 今一度、おおきな拍手を欲しいと思う。

 それは原爆の悲惨さとは無関係に時代に埋もれて行く。


 多くのものが発症し、その眼前には夥しい死者の群れがある。


 徳永京子も「酸欠を感じる」と言っているが、別役の本はもっと「軽(かろ)み」があるのではないか?妻の神野三鈴にはそれを感じた。


 また、照明、音響の良さが目立った。


2013.7.2-7.21

:別役実

演出:深津篤史

主催:新国立劇場

出演:大杉漣、木村了、奥菜恵、他