2013年5月1日初日。
今年はゲオルク・ビューヒナー没後200年、「ヴォイツェック」初演100年という記念的な年。残念ながら日本ではあまり大きな動きがない。
韓国からサダリ・ムーブメント・ラボラトリーが「ヴォイツェック」を持ってきてくれた。ルコックシステムを実践するフィジカルな演劇集団である。
小屋は世田谷パブリックシアター「シアタートリム」である。
スタージにはひとつのイスだけが置かれている。そして無数のバミリ。このバミリは歴代の残骸かと思ったが、実は…
11人の演者がそれぞれ1個のイスを持ち、シーンを作っていく。セリフは国文(朝鮮語)、日本語、英語。音楽はアストラッド・ピアソラ。照明効果の中でフィジカルを中心として「ヴォイツェック」を映像化していく。
フィジカルと音楽と照明と演出とビューヒナーのコラボレーション。こんな「ヴォイツェック」を観られること自体がスゴイこと。しかも200年、100年周年に…
イスを個別にも使うが、積み重ねても使い、そのスピードと狂いのなさがスゴイ。
後半の瞬時のシーンチェンジは見事。ここでバミリの意味が分かる。
フィジカルで、人体実験、酒場、殺害、のシーンを作っていく。全く「ヴォイツェック」を知らない人だったらどう見えるのか、知りたいところ。
オペラにも、ダンスにも、フィジカルにもなる「ヴォイツェック」。ビューヒナーのスゴサだと思う。
終幕後、演出のイム・ドワン氏と野村萬斎氏のポストトークがあった。謙虚なイム・ドワン氏の話しが興味をひいた。
「緊張感のある舞台なので、リラックスのための笑い(チャリ場のことか?)を入れているが、日本の人は恥ずかしがりやなので笑いが出ないが、カーテンコールの拍手でわかってくれていると思う」
「この演目にしようと思ったのは1996年IMF恐慌があった時に、失業者が溢れ悲惨な事件がたくさんあった。それが同時代とはないかと感じた」
「韓流ブームで一発を目指す若者が増えているが、教育者として芸術は自分に出会う長い旅、と言っている。理解されるかどうか疑問」
演出:イム・ドワン
Sadari Movement Laboratory+AsiaNow Prodactions
“Woyzeck”
2013.5.1-5.5
世田谷パブリックシアター
