求心力戻らぬ朝鮮総連
このタイトルは2013年4月3日の朝日新聞記事のタイトルである。
朝鮮総連の没落の原因として、以下のものを挙げている。
・朝鮮民主主義人民共和国のいいなりに資金協力を続けた総連執行部の乱脈
・帰国事業や祖国訪問で貧しく自由がないことが判明
・個人独裁を正当化した思想体系の押しつけ
・拉致問題の表面化
「ザイニチ」の人々は自らの生活を削って、親兄弟のため、親族のため、統一のため、「ソコク」のために資金や品物を送ってきた。その人たちの涙を吸い上げるだけだったのか?
映画『月はどっちに出ている』(1993年崔洋一監督、ヤン・ソギル原作)では共和国に物を送るオモニ(母親)が出てくるが、その説明は全く無い。まだ説明できない時代だったのだと思う。
映画『夜を賭けて』(2002年金守珍監督、ヤン・ソギル原作)では帰国船で帰る熱意ある中学生が出てくる。彼は貧困と暴力と差別にあきあきとしていた。
映画『クロッシング』(2008年キムテギュン監督)では中国と密貿易をしている共和国の人が韓国のサッカー試合の動画を入手しそれを見た時「ちゃんと食べているから体が違う」と言う。
映画『かぞくのくに』(2012年ヤン・ヨンヒ監督)でも共和国に物を送るオモニ(母親)が出てくるが、共和国側の対応を批判している。例えば「韓国産」のタグは取らなければならない。「米国産」はかまわない。なぜなら「韓国」が物資豊富な国ではないことになっているからだ。
書籍『兄 かぞくのくに』(2012年ヤン・ヨンヒ著)では、資金・物品だけではなく人的資産も共和国に献じたことが分る。1972年キム・イルソン主席の生誕60周年のとき総連のキム・ビョンシク第一副議長の号令で、前途有望な若者を「献上」したと言う。「忠誠の青年祝賀団」として60名が、そして「社会主義建設の先鋒隊」として朝鮮大学の学生200人が選ばれた。学生の100名は辞退したというが、人員を確保するために「思想闘争」が繰り広げられたと言う。犠牲となったのは純心な若者たちである。
私は共和国を批判しているのではない、国家を批判している。
映画『伽揶子のために』(1984年小栗康平監督、李恢成原作)では済州島4・3事件のことが一言だけ出てくる。
日本の植民地支配、韓国軍事政権の弾圧(民青学連事件では8名の死刑が執行された。現在では事件が捏造されたものと判明している)を知っている。
書籍『涙と花札』(2012年金惠京著)には朴正熙政権の70年代の印象を以下のように述べている。
「地域開発運動であるセマウル運動が、全国規模の事業となり、社会全体が発展を実現し、活気に溢れていたという印象の方が強い」
韓流ドラマ『ジャイアント』では朴正熙政府の反対運動をする学生が出てきて、警察に捕まり国家保安局に拷問されるシーンが出てくる。
国家に翻弄される市民の哀しみについて言いたいのである。