『Piusa』(ぴうさ)と『lala』。第三話。 | e.wagatsuma (エリ ワガツマ)

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うぱが壊れた日。


むかし、よく姉妹喧嘩をしてたっけな。姉にちょっかいを出す。
少し大人びた2歳離れた姉。
やんちゃ盛りの2歳下の妹。
私は、妹とよく姉をからかっていた。

ある日、姉妹喧嘩中、姉のぬいぐるみを投げてしまった。
姉の大事な羊のぬいぐるみ。

姉も怒り、うぱを2段ベットの上から床に叩きつけた。

チャララン、チャララン、、、
うぱは首を異常に回しながら、とまった。
中のオルゴールが壊れたのだ。

幼心にショックだった。
自分がやったことを棚に上げ、泣きじゃくる。
うぱが、音を失ったこと、ネジを巻くと異常に早く首を回し、メロディーなんてなかった。
あの頃は、姉に腹を立てていたな。
今思えば、自分が悪いのに。
先に、姉の大事な羊のぬいぐるみを投げたのが悪いのに、私はひとりで、悲劇のヒロインぶっていた。

お姉ちゃん、あの頃はごめんね。

私は、うぱを治せるのはサンタクロースしかいないと考え、母に相談した。
『今年のクリスマス、サンタクロースにうぱを治してもらうから、靴下にお手紙とうぱをいれるね。』
初めて、サンタクロースに“ください”じゃなかった、年。

その年のクリスマス、ツリーの靴下にはハンカチに包まれ顔だけ出したうぱと、手紙を入れた。

母は困っただろうね。
純粋にも無茶なお願い。
クリスマス前、手紙を取りにきたサンタクロースはうぱを連れて行った。

25日の朝にまた、会えると思っていたからしばしの別れ、ぐらいにしか思っていなかった。

しかし、25日の朝にうぱが戻ってくることはなかった。
変わりに茶色のうさぎのぬいぐるみが枕元に、置いてあった。

納得のいかない私は、サンタクロースは何故うぱを治さないのか怒りと不安と悲しみでいっぱいだった。

母に問いただしたり、
泣いたり、ないたり。

だが、茶色のうさぎも可愛かった。
すぐに、名前をつけ、首にゴムで作るビーズのネックレスを作りつけた。


名前はララ。何故か、ララさんと“さん”付けで呼んでいた。
自分とうぱとの間。
自分とららさんとの間。
複雑な何かがあったのだろう。


、、、続く。





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