姉のことを書いたついでに、亡くなったかつての上司の思い出も。

 

私、数十年前、国会議員の秘書やっててね。

大学卒業後、大学院に進学しようかと思ったけど院試の面接で

えらくつっけんどんなやりとりをして、落とされて、

大学4年の終わりの3月になっても、進路が決まってなかったんだけど。

 

急に、ある議員さんに拾ってもらって、秘書になったんよ。

それから5年間、その議員さんの秘書をやってた。

いろいろあったよ。

2回選挙があったり、議員さんが党を移動したり、偉い役職についたり。

 

議員さん、ほんと優しい人だったよ。

でも働き始めてから5年ほどして私、

突然大学院に進学することにしましたので、辞めますって言ったら

ほとんど何も言わずに受け入れてくれた。

突然私がいなくなって、ほんと困っただろうに、

本当に優しくて大きな人だった。

 

その後しばらくして、議員さんは、落選してしまった。

それからさらに1年くらい後に、議員さんに、呼ばれて、

7、8人くらいの東京で縁あった人を呼んだ上での会食に参加した。

それが政界引退を決意したことの表明だった。

久しぶりに会えてうれしかったけど、悲しかったな。

 

たしか、その会食のときに、天皇陛下から勲章もらってうれしかったとか

いう話をしてた記憶もある。

 

それから10年以上たったときに、友人から連絡があって

新聞で、君が秘書やってた議員さんの訃報が出てるよって、教えてもらってね。

見たら、本当に亡くなっていたの。

 

その数日後に、議員さんが現役議員時代に住んでいた議員宿舎の近くを

歩く機会があってね。

よく私が運転手になって、議員宿舎まで送迎してたことがあったから、

歩きながら議員のこと、それから議員と一緒に過ごしていたときのことを

思い出して感傷的な気持ちになったっけ。

 

議員さんはあるとき「おれ、将来、衆議院の議長やりたいの」

と冗談交じりに言っていたけど、結局無理だった。

でも、死後に叙位を受けてた。