株の利益について、総合課税で確定申告を行うことにより配当控除を目一杯使って所得税を返してもらい、住民税は源泉徴収されたままにする、いわゆる「住民税の申告不要制度」が来年の申告から使えなくなります。
でもこの用語、難しくてよくわからないですよね
2021年末の税制大綱での決定事項です。
このことを理解するには、まず住民税が決定されるまでの流れを知る必要があります。
必ずしもすべて正確ではないかもしれませんが、以下にだいたいの流れを記します。
住民税は、前年の所得に対して、6月ころ決定します。
2022年の1月~12月の所得が確定したら、今年の6月ころ住民税が決まり、6月から来年5月まで月割りで給料から天引きされます(今月の給料から引かれる住民税は2021年の所得から算出した金額です)。
だから、3月で定年退職した人は、6月に住民税がドカっと請求されるので、納税のための資金を準備しておく必要があるのです。
サラリーマン等が年末調整(生命保険料の金額などを書いて11月ころ会社に提出するあの面倒な書類のこと)、もしくは確定申告(まさしく今時期)を行うと、
①1月から12月までの所得が確定し、所得税(国税)も確定する。
年末調整・確定申告した内容が自動的に納税者の市区町村へ送られる。
②住民税が確定する。
市区町村役場の関係部署と納税者が勤務する会社等へ送られる。
③健康保険料の算定(自営業・年金生活者等)、各種補助等算定(低所得者)、サラリーマンは勤務先を経由して住民税決定通知書を受取る。
④自営業者や年金生活者、扶養から外れている主婦トレーダー等は健康保険料が決定する。
高齢者は医療費の窓口負担が確定する。
サラリーマンは毎月の給与から住民税が天引きされる。
(自営業者等は住民税を一括もしくは分割で納付する)
以上が住民税が決まるまでの一般的な流れです。
株の利益で住民税を申告不要にするということは、株の利益については①だけで完結、②以降、株の利益はなかったことにする、つまり株の利益は住民税を算定する総所得に加えないということです。
確定申告で住民税に関する画面・・・「はい」を押します。
別な言い方をすると、株の利益で特定口座等で源泉徴収されている住民税5%分だけを市区町村に支払って終わりにするということです。
そして、2023年の利益(2024年の申告)からは、①だけで完結するのはダメ!確定申告して還付を受けようとする人は全員④までいきますよ、つまり、株の利益は総所得に加えるよ、ということです。
じゃあ、株の利益を住民税に反映されたらどうなるのということですが、これはそれぞれの所得や家庭環境で異なります。
例えば、年金生活者や自営業者等は、株の利益が総所得にプラスされるので市区町村の健康保険料が上がります。
還付金がそのまま健康保険料に上乗せされると思ってください。そのくらい跳ね上がります。各自治体のHPに計算式がありますので試算できます(保険組合や共済に加入しているサラリーマンや公務員とその扶養家族は関係ありません)。
また、子育て世帯は、世帯所得が増えるので、給付金や支援金(住民税の課税額で判定されることが多い)に影響するかもしれません。←自治体独自で行っている給付や支援がたくさんあるのでお住いの市区町村へ確認してください。
住民税の申告不要を選択できるのは、今回が最後です。
申告不要にする、しない、来年からどうするかはそれぞれの世帯の事情で判断することになります。