いつも漫然と税金のことについて書いていますが、今日は失敗談を交え、リアルに一歩踏み込んでみます。

 

103万円の壁(税制上の扶養)とか130万円の壁(社会保険上の扶養)はよく聞く用語ですが、株式投資の利益を確定申告して税金を取り戻す場合は、以下の金額を意識する必要があります。

あくまでも一般的な家庭(高収入の富裕層等除く)の場合です。

 

 

四角グリーン住民税の非課税額(おおむね28~45万円)

 

住民税の基礎控除は43万円ですが、住民税の非課税額は、自治体ごとに大きく異なります

 

大都市では45万円のところが多いようですが、私が住む自治体は基礎控除額よりも低い42万円です。ガーン

 

田舎へ行くほど低くなる傾向(住民に不利)なので、お住まいの市区町村でご確認ください。

 

離島では28万円のところもありますびっくりマーク

 

株の利益が住民税非課税額以下でほかに所得がない場合は、そのまま総合課税で申告するのがよいと思います。


特定口座で徴収済みの約20%の税金は、年明けすぐに申告をすると、最短で所得税15%分は1月下旬、住民税5%分は6月頃、還付されるはずです。

 

 

四角グリーン48万円(所得税の基礎控除)

 ※103万円の壁(所得税負担なし、夫の配偶者控除有)=給与所得控除55万円+基礎控除48万円


株の利益が住民税の非課税額を超えて48万円までを申告すると、所得税の15%は戻りますが、住民税が課税されます。


課税される住民税はそれほど多くないのですが、今まで非課税だった人が非課税ではなくなるので、自治体から受けられるさまざまなサービス(子供関係の補助や給付金等々)に影響するおそれがあります。注意


特に、利益が43万円(住民税基礎控除分)を超えると自営業者や年金生活者は市区町村の健康保険料等が上がるので注意が必要です。注意注意

 

さらに、高齢者は、医療機関での窓口負担も増える可能性があるので慎重に検討する必要があります。注意注意注意


不安な人は確定申告の際、住民税の申告不要を選択することで、住民税に関係するこれらのリスクをすべて回避できます。

ただし、源泉徴収された住民税の5%分は戻りません。当然ですが。

 

税務署での確定申告の際に、「はい」をクリックするだけです。

 

 

          申告書第二表のここに〇がつきます。

                     下矢印

 

住民税の申告不要制度を利用すれば、48万円の壁は事実上考える必要がなくなります。

詳細は後述します。

 

なお、この便利な制度は、2024年以降の申告ではなくなる予定です。ショボーン

 

再来年の確定申告(2023年の利益)は相当、苦労することになりますが、再来年のことは来年考えるとして、とりあえず次へ進みます。

 

 

 

四角グリーン95万円(配偶者特別控除)


利益が48万円を超えて夫の配偶者控除が受けられなくても妻の利益95万円までは、配偶者特別控除(配偶者控除と同額の38万円)が受けられます。

 

世のほとんどの夫は年末調整で配偶者控除もしくは配偶者特別控除を38万円で提出していると思うので(たぶん)、妻が利益95万円を超えて申告すると、夫の配偶者特別控除が減額され、夫も確定申告をして追加で税金を納める必要が生じます。

 

 

今年から年末調整の様式が変更になり、余計ややこしくなりました。

 



ちなみに、


ねえねえ、年末調整で配偶者控除いくらで申告した?と旦那さまに聞いてみてくだい。

は?何それ?覚えてないよ。で会話終了となるはず。

 

なかには、写しをとってあるので明日、会社で確認してみるよ、と言ってくれるマメな旦那さまもおられるでしょうが、年末調整の意味すらわかっていない旦那さまもおられるかも。←ハイ、若いころの私です。

 

年末調整に関して、あいまいな返答があった場合は、「年が明けたら給与所得の源泉徴収票がもらえるはずなので捨てないで必ず持ってきてね」とだけ伝えておけば大丈夫です。←源泉徴収票にすべて記載されていますから。


四角グリーン130万円(社会保険料負担)


ここはかなりグレーゾーンなので、あまり深堀りしたくないテーマです。


私の知る限り、株の利益については、相続した株を一度に売却したとき以外はアウトとしている健康保険組合や共済(公務員等が加入する組合)がほとんどです。

 

なかには一時的な利益もすべて収入とみなす厳しい保険組合もあります(JR組合だったかな)


しかしながら株の利益130万円を超えてもそのまま扶養に入ったままの専業主婦は相当おられると思います。

 

なぜならば、ネットで検索すると、特定口座源泉徴収ありの場合はいくら利益を出しても問題ないとする記事が多数見受けられるからです。ていうか130万円の壁を正しく理解している人がどれだけいるのはてなマークという話です。

 

税理士が書いている記事でも怪しいのがありますので・・・。



いろいろ難しい用語や数字が出てきて頭が混乱してきました。

 

結論から言うと、住民税の非課税額である、おおむね28~45万円(自治体ごとに異なる)、夫の配偶者特別控除に影響する95万円、社会保険料の負担が生じる130万円をそれぞれ意識しておけばよいかと思います。

 

では具体的に、もし、私が主婦とかサラリーマンとかそれぞれの立場だったらどうするかというと、

丸ブルー専業主婦だったら、株の利益は、95万円以下となるように申告し、住民税は申告不要を選択します。ただし、株の利益が住民税の非課税額(私が住む〇〇市では42万円)以下であれば、住民税は申告不要を選択しません

丸ブルーパート勤務の主婦だったら、【パート収入-給与所得控除55万円】+株の利益=95万円以下となるように株の利益、もしくはパート収入を調整し、住民税は申告不要を選択します。

丸ブルー自営業者、年金生活者、プータローだったら、自分の所得控除枠(基礎控除、医療費控除等)を考慮のうえ株の利益を申告し、住民税は必ず申告不要を選択します


丸ブルーサラリーマンだったら、源泉徴収票を受け取ってからの判断(確定申告コーナーで金額を入力してみて還付金の有無を確認)となりますが、申告するとしても勤務先に株の利益を知られたくないので住民税は申告不要を選択します。

配当控除とか外国株の税額控除とか効果的に取り戻す方法もありますが、ややこしくなるのでここでは省略し、結論だけを書きました。

上記はあくまでも私個人の考えです。

 

専業主婦でも利益95万円を超えたら旦那にも確定申告してもらうとか、130万円を超えたら扶養から外れ、この際だからガンガン稼いでやるとか、自治体からの補助は一切受けていないから住民税の申告不要は使わないとか、考え方はいろいろあろうかと思います。

 

 

収入が1円増えただけで別世界に入ってしまうのが税金の恐ろしいところ!

 

何が恐ろしいかを具体的に示すと、所得が住民税非課税額を1円超えただけで、住民税の均等割(5000円)が発生します。

 

5000円の負担だけならまだしも、今まで非課税だった人が非課税でなくなります。

 

この3年間、コロナ関連の給付金が自治体から何回も支給されましたよね。

 

その中には非課税世帯が恩恵を受ける給付が多数あったはずです。

 

さらに、子供の保育園や高校の授業料に関して自治体から補助を受けている場合は、減額される可能性もあります。←ハイ、私が過去にやらかしました。住民税の申告不要を選択しなかったので、還付金以上の金額を減額されました。おまけで勤務先に株の利益額が知られちゃいました(株式投資が禁止されているわけではないのでそこは問題ありませんが)。

 

 

長々と書いてしまいましたが、確定申告は複雑でどうしてもムリという人は、特定口座源泉徴収ありで約20%の税金を納めたまま、国の税収増に貢献するのも一つの方法です。←きれいごとです。

 

いや、少しでもいいから取り戻したい、でも不安という人は、証券会社から発行される特定口座年間取引報告書(配当金を個別に受け取っている人は配当金計算書)と配偶者の源泉徴収票を手元に準備し、国税庁の確定申告コーナーから金額を入力、還付金があれば、住民税は申告不要に〇をつけて提出するのが無難かと思います。

 

世帯の所得や子供の年齢など家族構成は人それぞれです。

 

税金の還付を受けるときは、自分ひとりではなく世帯全体の損得で考える必要があります。

実際に確定申告をされる際はくれぐれも、ご自身の判断でお願いします。