経済と治安
友達の家に遊びに行く道中、半年前まではたくさんあった不動産屋がかなり
店をたたんでいることに気が付いた。
バブル崩壊の陰は、ここ上海でも少しずつ顕著に現れてきた。
家に到着すると、その子の幼馴染たちも来ていた。
昼過ぎに言ったのだが、みんな口々に日本語であいさつしてくれた。
おはよう (今は、こんにちは だよ。)
アニョハセヨ (それ韓国語)
私はバカヤロです。 (そんな謙遜しなくても・・・、って、どこで覚えたの?)
おはようございます。 (だからそれは朝の挨拶ね。)
私は中国人です。 (知ってるし。)
そんなにぎやかな挨拶を楽しんだ後、自己紹介をしてくれた。
その中に、がっちりした体格の警察官青年もいた。
彼はこんな小話をしてくれた。
昨日の夜、スリがつかまったんだ。
そのスリは、外国人たちのポケットから財布をすったんだが、
その後、一人が気づき、結局、怒ったその人たちにボコボコに殴られ
署まで連れられてきたんだよ。
反撃に遭ったそのスリは顔から血を流しながら、大声で泣いていてたよ。
元々は盗んだそいつが悪いんだし、署でもこっぴどく叱られて・・・・。
上海では、防ぎようの無い事件はあまり起こらない。
たまに日本に帰ると、歩行者が少ないので不気味に感じることもある。
実際、日本人や日本の企業が多い上海では、東京で起きた通り魔事件なども
すぐさまテレビで報じられる。毎週日曜日などは、日本のドラマを再放送し、
日本の観光地や、ホテルも普通に紹介されており、ある程度のことは
日本の衛星テレビなど見なくても何が起きているかくらいは大体分かる。
それがゆえに、現代の日本のことを知っている人たちはかなり多い。
そして、日本の治安がとても良いと信じている人も多い。
私もそう信じていたのだが、こちらに来てみて少し考え方が変わった。
日本では、怨恨などと関係なく、無差別に殺人事件が起こる。
それだけに、防ぎようはほぼ無い。
こちらでは、荷物や住居の管理などある程度気をつけていれば大体は防げる。
バッグが少しでも開いていると、おじさんやおばさんたちが注意を促してくれる。
夏だと夜10時過ぎでも子どもたちは外で楽しく遊び、大人たちはそれを暖かく
見守りながら夕涼みをしている。
でも、世界的に経済・自然環境が連鎖している今日、この姿も、
いつか近いうちに見られなくなるのかと思うと、少し切ない気がした。
結局、人間の努力や能力、政策には必ず限界がある。
私はバカヤロです。帰る道中、何度もその言葉が頭をよぎった。