ナンセンス、バカバカしい、なんじゃこれは．．．ふざけてふざけて、ほたえたおして、うーんけどおもろい。

「埼玉県人にはその辺の草でも食わしておけぇ～!」と言う衝撃的な二階堂ふみのセリフ。「ええっ～、ええんかいなこんなこと言わして」と思ったもんだが、私の知る限りでは大した騒動もなく、映画はヒットしたらしい。と言うのは私は観てません。理由はあまりにもバカバカしかったから。ところがである、続編は舞台が関西。上映予定の映画館へ行けばド派手な宣伝広告がロビーにずらりと。関西人馴染みの役者が多数出演。とたんに観たくなりましたわ。敵は我が社のある大阪、そして我が家のある神戸。否が応でもそちらへ足は向く。ちょうど、テレビの何とかロードショーで前作をやってます。予習をしっかりしていざ映画館へ。

主演のGACKTと二階堂ふみは前作に続き勿論再登場。新たなヒロイン...いや男?の「滋賀のオスカル」こと桔梗魁に杏、立ちふさがる敵にド派手な池乃めだか衣装に白塗りの大阪府知事・片岡愛之助、そして実際の嫁、藤原紀香が鼻持ちならない知事の嫁であり神戸市長も兼ねる。そしてその不倫相手にこれまた白塗りの京都市長の川崎麻世。その他、吉本芸人多数出演。バカてんこ盛りギャグ満載の超チープな超おバカ映画の開幕です。

東京の「通行手形」を撤廃させ、埼玉県人に自由と幸せをもたらした「埼玉解放戦線」のリーダー麻美麗。そして都知事の息子?でありながら愛する麻美麗と共に戦った壇ノ浦百美は次なる計画に心血を注いでいた。日本中を埼玉のような差別のない国にしようと言う「日本埼玉化計画」。そのためには埼玉の横の繋がりを強固にしよう言うのだが同じ埼玉の中でも地域意識が強すぎてまとまりがない。そこで麗は埼玉県人の心を一つにしようと「埼玉に白浜のビーチを作ろう」と言うわけのわからないプランをぶち上げる。

愛する百美を埼玉に残し、埼玉解放戦線のメンバーを伴い、千葉解放戦線の協力を得て千葉・金谷港より大海原に乗りり出し和歌山へ向かう。だが強風により船団は座礁、麗は一人、和歌山の海岸へ打ち上げられた。彼を助けてくれたのは「滋賀のオスカル」こと滋賀開放戦線のリーダー桔梗魁。麗が目にしたのは和歌山のリゾートであるはずの白浜海岸で我が物顔に振舞うのは大阪人、神戸人、京都人。そして滋賀、奈良、和歌山の面々が奴隷のようにこき使われる姿だった。麗は魁から「今、関西を牛耳っているのは大阪府知事の嘉祥寺晃、そして彼に追随するのは嫁の神戸市長とその愛人の京都市長だ。」と聞く。そして、高校球児のあこがれの地、甲子園球場の地下では何やら奴隷たちを使って「怪しげなもの」を精製していることを知る。そこで仲間の埼玉解放戦線のメンバーたちも奴隷として働かされているのだ。一方、埼玉では百美が生徒会長を務める白鳳堂学院では甲子園に出場した野球部の面々が奇妙な砂を持ち帰り学園全体が「大阪化」されていた。麗は魁を伴って甲子園球場に潜り込むのだが．．．。

「なんで千葉から和歌山まで船に乗っていかなあかんねん！飛行機乗る金ないんやったら電車を使え、電車を！」と言う出だしの突っ込みから、ああっ、我タイガースのユニフォームがショッカーの戦闘員の服になっている。タコ焼きがもう麻薬扱い、甲子園球場はガレー船(奴隷船)(作った本人たちは「インディジョーンズ／魔宮の伝説」のシーンをイメージしたそうですが)、大阪、兵庫、京都の圧政者に対抗する滋賀、奈良、和歌山の反乱軍。もうなんて言うか「スターウォーズ」の様相を呈してきたこの作品。本来なら大阪、神戸に籍を置くものとしては怒りを大にしなければないところですが赦すと言うより「うん、あるある」と思ってしまうところがこの作品の面白さ。ああ、１作目では東京の人も埼玉の人もこんな心境だったんだなと。そして今回は「ウーン、品格はともかく、お笑い大好き関西人、笑いがすべて、笑いが取れるならすべてOK の関西人なら許してくれるだろう、と言う我々関西人の寛容さに付け込んだ？制作者、出演者の魂胆に我々は見事に引っかかってしまいました。「滋賀のオスカル」「滋賀のジャンヌダルク」、何と大仰で何とローカルな代名詞！野球部はザ・タカラヅカ、ポコポコヘッドあり、乳首ドリルあり、ハイヒールモモコが前大阪府知事、恒例のご当地有名人自慢あり、その有名人自慢に藤原紀香自ら登場ともうモダン焼きの上にたこ焼きをトッピングと言うような作品でしたわ。資金が足りない、支払いどうすんの？、おまけに裁判がどうのこうのと言うわが身の昨今、頭を空っぽにして忘れることの出来るわずか２時間余りのユートピア。観終わってしまえば．．．ああっ、また明日から資金繰りだ、支払いだと地獄の日々が脳裏をよぎる。

翔んで埼玉～びわ湖より愛をこめて～