大宰府というとほとんどの人は天満宮しか出てこないと思いますが実は日本の歴史上たいへん貴重な歴史が残る場所でもあります。7世紀のことですが大宰府には九州の政治経済の・軍事・外交を司る政庁が置かれ、663年に日本が白村江の戦いに負けてたため唐・新羅との戦いに備えて翌年筑紫に巨大な堤防が作られていました。日本書紀にも「筑紫国に大堤を築き名付けて水城という」記述が残っておりますがなんとその水城跡が現存しています。さらに翌年には大野城も築かれていますし大宰府は当時の大和の国の重要拠点だったと思われます。一度訪れたかったので博多に行ったついでに寄ってみることにしました。ただし大野城はかなり広大でとても歩いて見て回れるものではありませんので水城と政庁に絞って見学します。
博多駅からJR鹿児島本線で約20分、その名の通り水城駅に降り立ちます。初めて来ました。
駅からすぐに分かりますが木々に覆われた堤防が続いているのが分かります。知らないとただの森かと思ってしまいますがこれが664年に造られた人口の水城の跡になります。高さは約13メートル、全長1.2キロメートルに渡り巨大な堤防です。
663年の白村江の戦いで敗退した後、大和朝廷は唐または新羅が攻めてくるかもしれないという心配から百済から逃れてきた亡命者の技術をかり、慌てて作った防衛施設の一つがこの水城です。博多湾から筑紫国へのルートを完全に遮断しています。現在は鉄道も通っていますが。
道路には水城の断面が露出しており水城の構造がよく分かります。版築されて作られていたり木樋によって水を抜くような仕組みまであったということです。約1年でこれだけの堤防を作り上げた当時の大和朝廷の力もなかなかのものですね。
駅から土塁に沿って歩いていくと土塁の切れた所に出てきました。少し登るのも一苦労です。
今では土塁を貫通するように鉄道や道路が交差しています。現在でも博多から大宰府や鳥栖方面に向かう幹線なので縦貫するのは仕方ないですね。むしろ邪魔になっている気がします。
ここでも土塁の断面を見ることができますが1350年以上前の遺跡なので良く現在まで残っていたとしか言えません。
水城には2か所だけ人が通れるように門が設置されていたようでに西門の跡です。
すっかり木々も大きく育ち森林の様に見えてしまいます。土塁に沿って散歩ができます。
一方東門跡までやってきましたがこちらは国道112号線が貫通している場所です。道路横に水城大堤の碑が立ちます。
ちょうどこの東門のあたりでは水城の様子をいろいろ確認することができます。水城館が開いていれば行きたかったですが年末の時期は閉館でした。
ここには東門の礎石跡が残されています。
横を歩いている人と高さを比べてみればその高さが分かります。こんな堤防は誰も登れないでしょう。
東門には展望台も設置されていますので登ってみます。全体が見えるまでは行きませんが水城の森が真っ直ぐに伸びているのが確認できます。水城を横切るのは県道112号線です。土塁の右(博多側)には幅60メートル×深さ4メートルほどの外堀が存在し水を貯めていましたが高台から見下ろすと高低差も良く分かりますね。
案内板もかなり分かり易いので水城の構造などもよく理解できます。
続いて政庁跡を見るために西鉄電車で移動します。降りた駅は都府桜前駅です。
途中の水城中学校ですが校門も雰囲気ありますね。
駅から政庁と大宰府天満宮は雰囲気のある一本道で続きます。景色を楽しみながらてくてくと歩いていきます。
駅から歩くこと約15分で大宰府のもっとも重要な史跡でかつての大宰府政庁跡です。
地図を確認してみてもこの政庁を中心に当時の政治が執り行われていたのが推測されます。
まずはその広さにびっくりです。
南門跡の礎石です。
南門を入ってすぐの中門の跡、礎石です。
廻りには回廊の跡もあります。
そして正面奥には正殿が建立されていたわけです。
当時では想像できないような立派な建物がここに建てられていたのでしょう。
正殿の後ろ側にも立派な後殿が建っていました。
政庁から大宰府天満宮は約2キロですので歩いて向かいたいと思います。途中にあるのが大宰府市役所です。
太宰府天満宮の参道です。年末でしたが海外の観光客が多かったような気がします。
西鉄の大宰府駅です。いつもは電車で来ることが多いのでここから参拝に行きます。
駅のすぐ横には博多ラーメンの一蘭がオープンしていました。行列で人気なのは五角形のドンブリ(五角・ゴーカク)のセットでした。かなりご利益がありそうですね。
駅には大宰府への直通運転の電車「旅人号」です。
すごい鮮やかなデザインの電車で海外の人に人気が高いと感じました。
天満宮にお詣りした方は政庁と水城の見学もされた方がより歴史を楽しめると思います。また次回大野城を旅してみたいと思いますし、戦国時代の遺跡も多いので岩屋城、立花城などにも見学したいと考えています。 (31)