ふわふわしたものは
誰にでも降り
彼らを宿主として現れる
あるときには
ケニアの少女に降り
彼女の口から歌となって現れた
あるときには
スーダンの老爺に降り
彼の手から詩として現れた
あるときには
カメルーンの少年に降り
被った帽子をワザと斜にずらす仕草として現れた
ふわふわしたものは
ふわふわ降る
少女の歌は誰も聴かなかった
老爺の詩は誰も読まなかった
少年の帽子の角度に気がつくものはなかった
それは彼らだけのものだった
ふわふわしたものは
ある昼下がりに
日本の中年男性に降り
彼の指先から
詩のような雰囲気があるようなないような
文章として現れた
ふぎゃ