中学の卒業式を終えたとき、僕は、卒業式の後に何かあるのではないか、と期待した。
例えばクラスメイトから遊びに誘われるとか、クラスメイトから話しかけられて、気がつけば夕方になるまで話し込むとか。
そんなことも、あるかもしれないと、小遣いを貯めていた。
しかし、何もなかった。だから、帰って、夕飯時まで寝た。
高校の入学式の前日、風呂に浸かりながらクラスの輪に入っている自分を想像した。少し不良っぽいけれど気の良い友達が出来た自分を想像した。
想像の中では皆気さくで、優しかったし、自分は堂々と言葉を発していた。
しかし、そんなことは起こらなかった。
僕は自分を揶揄う声を、聞こえないふりをしてやり過ごした。
嘲笑が聞こえる度、胸がドキドキしたし、耳が熱を持ち赤らんでいくことが分かった。
高校の卒業式を終えたとき、僕は直ぐに教室を抜け、帰って、少し寝た。何も期待をしなかった。
少し寝て、美術予備校に行って絵を描いた。
いい訳みたいに、絵を描いた。