蘭子の官能日記 そして導火線に火はついた | 聖★黒薔薇学園~恋愛・人間関係・女の性 艶女になる為のテクニックを御紹介~

蘭子の官能日記 そして導火線に火はついた

蘭子の官能日記 そして導火線に火はついた


「いつ、知ったのよ。」

私の口からは瑠衣子を責める言葉が出そうになった。

「・・・・」

(ずっと黙ってたわけ?)

(そんな重大なこと、何故黙っていたの?)

(知ってたくせに、何くわぬ顔して私と会ってたわけ?)

大人の蘭子ならぐっとこらえる言葉が

子供だった私は次から次へと口から出てきた。

「いつ言おうか迷っていたんだよ。」

瑠衣子はシャンパングラスを口につけると、ドンペリをほんの少しだけ口の中に入れた。

「友達でしょ??知ってたんだったら言うのが友達じゃないの??」

「まだ確実な情報じゃないし・・・。変に悩ませて蘭子を困らせたくなかったし。」

「じゃあどうして今言うのよ!」

言ってほしくなかったのか、言ってほしかったのか

自分でも分からない。

かーっと頭に血が昇っているのだけがわかる。

その時の私は瑠衣子を責めるより先に

ヒロシに会って事の真相を確かめたかった。

私はガタンと席を立ち、側にあるシャネルの黒のキルティングを手に取った。

「あんたを悩ませたくなかったんだ。」

私は彼女の声を背中で聞いて、その場を立ち去った。


ディスコの外には「出待ち」の男達が自慢の車から顔を出し

ディスコから出てくる女達を値踏みしていた。

このディスコはメンバー制なので紹介がないと入れない。

高級ディスコに入れない2流の男達が

次々と声をかけてくる。

「お姉さん~今からどこに行くの???」

「俺達と遊ぼうよ~~!」

「楽しいことしようよぉ~。」

私が聖徳太子じゃない限り、全ての男達の言葉を判断するのは難しい。

私はその2流の男達を無視して

3流の男の家に向かった。


タクシーから降りる時、お釣りを貰い忘れていた。

それぐらいどうでもいいこと。

早く確かめたかった、真実を。

たった一つのヒロシの現実を。

鍵を開けノブを回そうとした。

あれだけ、一刻も早くヒロシの部屋に行きたかった自分の気持ちとは裏腹に

ヒロシの部屋の前に来ると

中々部屋の中に入れない自分がいた。


私を悩ませたくなかった・・・

瑠衣子はそう言った。


悩む、でもない。

怖い、でもない。

ただ私の心臓の音だけが早くなった。


「ヒロシ・・・?」


真っ暗な部屋の中でヒロシの姿を探す為目をこらした。

車の通るライトの明かりで裸でベッドで寝ているヒロシを見つけた。


「ヒロシ!!」


ヒロシは寝返りを打って、薄目を開けて私のほうを見た。

「なんだよ、こんな夜中に・・・。」


面倒くさそうな、けだるそうな、不機嫌そうな声で私の悲痛な声に答えた。


おそらく今の私なら、

証拠を掴むまで話をしないだとか

様子を見て落ち着くまで待つとか

それなりの冷静な対処ができたはず。

しかし若かった私の持ち玉はストレートしかなかった。

フォークも、カーブも、シュートも、投げ方を知らない19歳の少女だったのだ。


-続く-


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