蘭子の官能日記 爆弾投下数分前
蘭子の官能日記 爆弾投下数分前
「香川さん、どうだった?」
私は次の日瑠衣子とディスコにいた。
前日は中々寝付けず、結局朝になってもヒロシは捕まらず
昼過ぎに部屋に電話をしたら、ずっと大学の友人のヨシヒサ君と飲んでいたという話だった。
嘘かホントか聞くのも怖くて
私はヒロシの言葉を鵜呑みにすることで
自分の中にあるドス黒い不安感を拭い去ろうとしていた。
気持ちが滅入っていたので彼女を誘って飲みに来ていた。
「香川さん?」
ああ・・・オッサンか・・・。
「蘭子、あの人に送ってもらったんでしょ?どうだった?
あの人って無口で全然話さないでしょ??
ちょっといい男だけどあんなつまらん男いないわよね。」
瑠衣子は口を尖らせて言った。
「香川さんとなんかあったの・・・?」
私は彼女の何かモノを含んだ言い方が気になったので聞いてみた。
「ちょっと前にね、良い男だから口説いてみたわけ。
そうしたらノラリクラリとはぐらかさせて。
初めてだわよ、男に婉曲的にでも断られたのって!
あの男、女に興味がないんじゃないかしら??」
「・・・そんなことないと思うけど・・・。」
「そぉお?アレ、絶対ホモよ!」
「ところであの後萌子達はどうなったの??」
私は瑠衣子のプライドを傷つけたくなくて、その話は逸らそうとした。
瑠衣子は不機嫌そうにバージニアに火をつけた。
「え~?美味しい思いしたんじゃないの?」
瑠衣子はそれ以上は詳しく話そうとはしなかった。
イライラするように、脚を組み替えてつま先をトントン床に鳴らした。
「それよりヒロシくん、見つかったの?」
今度は瑠衣子が話を逸らしてきた。何かお互いに牽制しあっているようにも見えた。
ディスコのVIPルームに女2人。
ガラス越しに男達の視線が注がれていた。
「ヒロシね、大学の友人と飲んでたらしいわ、朝まで。」
ふ~んと何か知っていそうな、興味のなさそうな返事をしたかと思うと、
また瑠衣子はオッサンに話を戻した。
「香川さん、蘭子に興味があるんじゃないのかな?
だって蘭子が席を立った時、ずっと蘭子の方を気にしてたし。
蘭子が帰るって言った時、送っていくって言ってたじゃん。
あれ、絶対に蘭子に気があるよ!
香川さん、結構お金持ってるから、いい見返り期待できるかもよ!!」
と瑠衣子は親指と人差し指で○を作り、「お金」のサインをした。
相変わらず、この女は目ざとい!誤魔化しが効かないのだ。
でもお金を持っていると知っているということは
オッサンガあの有名な議員さんだということを
知っているのだろうか・・・?
ガラスを男達がトントン叩いた。
瑠衣子は気がつき
右手で「シッシッ」と男達をいなしたかと思うと、
煙草を灰皿に押し付け、黒服にドンペリを一本注文していた。
「香川さんって何してる人なの?」
「知らないけどぉ・・・。でもこの間のお金も香川さんモチだったし、
車はベンツだし、時計もフランクミューラーとかしてるじゃん。
秘書だっているし。あれ、絶対にどこかの社長だよ、きっと!!」
・・・やっぱり瑠衣子はおバカさんだった・・・。
でもやっぱり彼女の洞察力はあなどれない!!
言うべきか言わないべきか・・・。
黒服が瑠衣子に傅き、シャンパングラスにドンペリを注いだ。
瑠衣子はそのドンペリを一気に飲み干したかと思うと、
私の顔を見据え、こう言い放った。
「そういえばヒロシくんって言えば
新宿の怪しい消費者金融に出入りしてるらしいって聞いたことあるんだけど・・・。」
突然瑠衣子が爆弾を投下した!
-続く-
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