南米アンデスに伝わる小さな“ハチドリ”の物語をご存知ですか?

森が燃えていました。

森の生き物たちは われさきにと 逃げて いきました

でもクリキンディという名のハチドリだけは 行ったり来たり

口ばしで水のしずくを一滴ずつ運んでは

火の上に落としていきます。

動物たちはそれを見て、

「そんなことをして いったい何になるんだ」

と笑います。

クリキンディはこう答えました。

「私は、私にできることをしているだけ」

私はこの物語が好きです。

この短い物語には大きなメッセージが込められています。


クリキンディは、ハチドリという小さな体ながら

大きな勇気をもっているように感じられます。

そして他の動物たちは臆病者で、

自分さえよければいいといった卑怯者のように感じられます。

でも、動物たちが火事を消そうともせずに逃げ出してしまった本当の理由は

何だったのでしょうか・・・?

大きな体で力持ちのクマは幼い子グマを守るために避難したのかもしれません。

足の速いジャガーは、後ろ足を使って火に砂をかけることに

気づかなかっただけかもしれません。

雨を呼ぶことの出来る”雨ふり鳥”は、

自分たちの降らせる雨が火を消すことができる事を

知らなかったのかもしれません。

クリキンディは伝えてくれているのです。

他の人を非難したり、怒りや惜しみや妬みに身を任せる暇があったら

自分の出来ること、自分にも出来ることを淡々とやっていこうよ 。

クリキンディは伝えてくれているのです。

私たちはあまりに大きな問題や困難や力に取り巻かれてしまう時、

それを考えるだけで気が遠くなってしまったり

あきらめや無力感に心を支配されてしまいますが、

どんな困難な中にいても

私たち一人一人には「出来ること」が必ずあるんだよ と。 

クリキンディは教えてくれているのでしょう。

家庭において職場において、様々な立場の自分がいます。

目の前に起こる問題が大きいと感じれば感じるほどに、

「私にはできない」「私がやることではない」「そんなことをして何になるんだろう」

と、行動する前からあきらめてしまいがちになります。

一番の問題は、目の前にある問題を解決できないことではなく、

大切な事柄や行いに目をつぶってしまうことです。

私たち一人ひとりは ちいさなハチドリの力に過ぎないかもしれませんが、

この無力感やあきらめを吹き払い、

しっかりと目を開き 問題と向き合い、

「わたしにできること」について考え、

行動し、それらを積み重ねてゆくことができるとしたら

燃えている森の「火」を消す力にだってなれるかもしれません。

このクリキンディのように

「私は、私にできる事を考えて行動」

していきたい。


 さとこ