手のひらの音符 藤岡陽子著



またもやどうして予約したのか忘れてしまった作品

検索してみると、朝日新聞の”売れてる本”コーナーで紹介されている。
ただ2018年6月
そんな以前に予約したのかどうか、もっと最近予約したのかわからないけれど。
その新聞記事では、"過去の積み重ねが生む温もり"という見出しでした。

主人公は40すぎの瀬尾水樹。東京で服飾デザイナーとして働くも、その服飾部門から手を引くと社長に告げられる。

ちょうどその頃、高校3年のときの同級生、憲吾から連絡があり、担任だった先生が体調を悪くされ、もしかしたら来年まで持たないと。

京都で過ごした高校まで。小学生の時の近所の兄弟と遊んだこと。その兄弟たちの思い出。
入院中の先生との会話と、今の水樹の進路を決めてくれた先生との思い出。

主人公は母親が内職でバービー人形の服を作っていたため、それを手伝うことから自分の服を作ったりして服飾に興味もつも、高校を卒業したらすぐに就職しないといけない。それを、服飾に興味あるなら専門学校で専門的な事を身に着けて就職すればいいと勧めてくれる。


憲吾は現在京都の呉服産業で培った技術を生かして新しいことを始められないか考えている。
それを水樹に手助けしてほしいと。

そこから水樹が自分で立ち上がっていく様子と、ずっと会えなかった近所の兄弟との再会。
ラストのシーンは印象的でした。


いろいろなことが起こりすぎて、近所の兄弟の家のお父さんは亡くなるし、そこの弟は自閉症で、とくにその当時は自閉症の知識はなく、ただ変な行動をするいじめられっ子でそれをいつも兄二人が守っていた。その上の兄さえも事故で亡くなる。
普段あまり読まない展開で戸惑いましたが、
それでもラストは元気の出る明るい兆しがみえて良かったです。

 

 

文脈とは関係ないけど同級生憲吾の語る内容で気になったので

 

京都東山 六道珍皇寺(ろくどうちんのうじ) 

通称『六道さん』

「六道っていうのは、仏教でいう天道、人間道、修羅道、畜生道、餓鬼道、地獄道・・・・・・

つまりこの六種類の冥界を、人は死んだら流転するんだ。六道珍皇寺にはこの冥界への入り口があると伝えられてるんだけど、確かに何か感じる物があったね。」

「平安時代に小野篁という官僚がいたんだ。で、この官僚、昼は朝廷の役人なんだけど、夜になると閻魔庁の冥官をしていてね。つまりこの世とあの世を自在に行き来してた。その冥土の出入り口の古井戸が。まだこの寺に残ってて。小野篁ってね、今昔物語集にも冥界説話が載ってんだよ」

 

なんか行って見てみたいですね~

 

私は生まれて4歳頃まで天台宗の寺で過ごしてきたので、この六道というのは身近にありました。

 

そのお寺、坂本のもう少し琵琶湖よりの、下坂本にある、聖衆来迎寺というお寺で、六道絵(りくどうえ)という絵がありました。

地獄で苦しめられる絵、閻魔大王が裁いている絵、そして天国。全部で15幅

これがお盆の8月16日に虫干しとして公開されます。

表の本坊の、外からも見えるところに複製が、奥の薄暗い書院に博物館から戻ってきた本物がかかります。

それを小さい頃から見ており(書院の本物は知らず、色のはっきりしたものを本物と思いこんでいた)

夏休みに田舎に帰ってはこの絵を見ていたわけです。

怖い怖い絵を従姉妹と友にキャーキャー言いながら。

 

冥土と行き来する井戸

気になります。