stitdarihou1989のブログ

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 ――女の子って、なんでこんなに甘い匂いがするんだろう。  吸い付くように柔らかな、少し冷たい唇を舌でこじ開けると、さゆちゃんは切なげに呻いた。  遠慮がちな手のひらが俺の背中を伝い、そっと首に巻きつく。  ……やべえ。  このままだと思考が停止して、――サルになりそう。 身体が燃えるように熱を帯び、激しい鼓動が頭の中を隙間なく埋めていく。 薄いニットの裾を探り、手のひらを滑り込ませる。 塞がれた唇から、ん、と微かな声を上げ、さゆちゃんは逃れるように身をよじった。 ――このまま、何も考えられなくなればいい。 頭が空っぽになって、俺自身も空っぽになって。 そのまま、全部捨ててしまおう。 バレーへの想いも、注ぎ続けた情熱も、小学生の頃の無邪気な夢も。  だってそれは、どうやっても取り戻せないのだから。  惜しむ必要なんてない。  もう、俺にはいらないものだ。 『――新太くんのジャンプサーブは本物だと思う。これからもがんばってね。大学のバレー部で会おう』  胸の奥で何度も繰り返し再生し、励みにしたユキエ先輩の言葉。  あの時、舞い上がった俺は先輩に何と答えたのだろう。  自分にはバレーボールしかないと、――チームから必要とされていると信じていた、あの頃の俺は。  ――ユキエ先輩、すみません。  約束、守れませんでした。  俺のバレーは、ここまでです。  瞼の裏で、ユキエ先輩の面影が少しずつぼやけ、滲んでいく。 そして、――。 入れ替わるようにして浮かび上がったのは、椎名さんの笑顔だった。 『大丈夫ですよ、リボン結びなんて練習すればすぐ出来るようになります。 ちょっとしたコツあがあるんです。よかったらお教えしましょうか』  あの時、彼女はそう言っていたずらっぽく笑った。  あの笑顔を見て、ミニギフトを成功させなきゃと気負っていた俺は、ずいぶん楽になったんだ。    ――そうか……。  二人はどことなく似ているのかもしれない。  俺は、彼女の中にユキエ先輩の面影を見つけた。  二人を重ね、椎名さんの包み込むような優しさにすがろうとした。 俺は、――赦されたかったんだ。 誰かに赦してほしかった。 バレーボールから逃げ出した、自分を。 放送禁止。な日々 ...