2年目の医学校が始まるのは9月のはじめ、それまでは夏休みである。 とは言っても来年の夏にある統一試験に向けてもう勉強を始めている。 なにやらノートパソコンに試験の傾向と対策をしっかり入れてあるらしい。
帰宅して4日目。 一人増えただけでどうしてこうなるのか。 リビングとダイニングはコンピューターの部品が散らかってまるで倉庫。 ドでかい靴はこんなところで靴を脱ぐか、というようなところに脱ぎ捨ててあり、私がつまずくことになる。 トイレのシートはいつもあがったままだし、夕食の残り物は魔法のように消えていく。 (リュウザエモンはちゃんと靴は玄関で脱ぐし、私とトイレはそれぞれ別のを使っているし、残り物を食べるのは嫌いである。)
中古の芝刈り機を買って庭だけはまあ見られるようになったか。 雑草取りは私しかしないからちょっとひどいことになっている。 何も知らずにやってくる2人の姪たち。 お嬢さん育ちで今までしたことがないようなことで働かされるのだ、ムハハハハ。
アメリカの人は結構車で動くのに慣れていて大陸縦断なんて平気でやる。 ここカンザスからでもフロリダやテキサス、あるいは東海岸までドライブに行くのは珍しいことではない。 私は飛行機のほうがいい。 毎日8,9時間も車の中にいるのは苦痛。
其れにもましてつらいのは食生活の選択肢が少なくなること。 ハイウェイ沿いのファーストフードには飽き飽きである。 ハンバーガーにピザ、メキシカンがせいぜい。 日本料理店も大きな町にはあるだろうけど、ハイウェイを降りて探し回るのはかなりの気力が必要だ。 私はベトナム料理の麺フォーが食べたくなり、毎日食べたーいと叫んだけど、結局見つからず。 帰ってきた夜にはラーメンを作って食べた。 ご飯にも飢えていたので、塩おむすびを作った。 銀シャリのおいしいこと。 あー日本人だなあ。
アリゾナ州のメサまで飛行機で飛び、ツレアイと一緒に車でカンザスまで帰ってきた。 メサは華氏115度、でもフラッグスタッフに入ると高地なので(5000フィート)涼しくなる。 ニューメキシコから、テキサス、オクラホマと通ってカンザスに入る。
途中で見た全国一の大きい十字架。 ハイ、それで? という気になるのはクリスチャンではないからか。
帰ってきました。 無事に旅行を遂げたピックアップトラック。 旅の前に新しいタイヤを履かせてもらってがんばりました。
血液型で性格を分けるというのは日本独特のものなのだろうか。 こちらではお誘いの言葉には”君、何座?”というのはあるけど、”君、何型?”と言うのはきいたことがない。
その血液型それぞれの女の結婚する法という連続4夜ドラマを見た。 4話ともに幸恵という主人公が結婚に行き着くまでの話。 他愛ないしばかばかしいのだが、主人公の親友役にハリセンボンのうちの太いほうの人が出ている。(名前は知らない)
妹のだんなにわたしがこの人に似ているといわれたので気になったのだ。 太っちょとめがねをかけているところはなるほど、と思う。 変なところに興味が行ってしまって本筋のストーリーなどどうでもよくなってしまった。 めがねが似合う人である。 私もこんな風にいろいろと場所に応じて変えてみたいなあ。 老眼の入ったサ ングラスを新調したばかりなので気になった。
サイノスケは全国統一試験の結果が5月に出たあと、いよいよ受験活動に入った。 まだあと大学は1年あるけど。 M.D.とPh.D.の両方がとれるコースに行きたいので、クマゴローやツレアイのときよりもっとややこしいようである。まず志望の学校に第一の願書を出す。 これで音沙汰なければそれでおしまい。 第二の願書をだすようにとのお誘いがくればしめたもの、必要なものをそろえて提出。 このときにエッセイを7つなんていう学校もある。 題目は自分の弱点と長所を述べよ、リーダーシップを取った経験について話せ、どうしてこの大学を選んだのか、などなど。
親の最高学歴も書いて出す。これはたとえば自分が家族の中で始めて大学へ進んだという人に有利なのだ。 サイノスケはうちはだめだな、父親は学位なんてはいて捨てるほどあってその上まだ学校に行ってるし、母親も移民でウエートレスでもしてれば話は別なのになんて言う。 アジア人というのはマイノリティであっても医学校の応募では優遇されず、ヒスパニックかアメリカンインディアンなら有利。
合否の判断は学校の成績と試験の点数だけに限らないので、どれだけ病院や地域でボランティアをしているかというのも大きい。
サイノスケは10校応募したのだが、友達に20校という人がいるのを知ってあせっている。 20校も応募したらどれだけお金がかかると思うんだとぼやく。 行くところがなかったらどうしようと今から心配している。 まるで心配性のクマゴローになったみたいと自分で言う。 ほんと。
ツレアイは今日で医学校一年目を終える。 落第もせず何とかすごせたようでまずはめでたい。 2年目からは全国にある12の病院でローテーションと講義が行われる。 9月のはじめに新学期が始まりアラバマに行くことになっている。 ど田舎のようで、引越しして同居という気にならないのがつらいところ。 仕事も見つかりそうにないし。
来週には私が飛行機でアリゾナまで飛び、ツレアイと2人でドライブして帰ってくる予定。 アリゾナ、ニューメキシコ、テキサス、オクラホマ、そしてカンザスというルート。 2人きりで5日も車に閉じ込められている状況がちょっと不安である。 ピックアップトラックにはエアコンはあるがCDプレーヤーはない。 ラジオでカントリーウエスタンを聞く羽目になりそうで怖い。 引越しの荷物を山ほど積んで(3台の自転車も)いるのも心配のもとである。
やれやれ、どうなることやら。
これほどまずそうなのをレストランでだされたことがあるだろうか、(日本に住む皆様!)。 緑や赤のまったくないランチ。 色は茶色の薄いのから濃いのまで、それだけである。 左に見えるのがタマレス、右の奥にメキシカンライス、手前がリフライドビーンズ。
おいしいかと言われれば、まあ、食べられないことはないと言う程度か。 カンザスのメキシカンはこの程度なのだ。 ちなみにこれで5ドル。
田辺聖子の短編に”古文の犬”と言うのがある。 居酒屋の主人が飼っている白い日本犬で平家物語に出てくる武士のような候言葉をしゃべる。 ”動物のお医者さん”と言うコミックスの中には大阪弁の猫やちょっと頭が弱いがいつも”オレはやるぜオレはやるぜ”と言っているそり犬も出てくる。
友達のP氏の飼っているダックスフントは郵便配達の人、子供たちなど手当たり次第に噛み付く。この犬、オスカーは飼い主の趣味でハーリーデイビッドソンのモーターバイクのロゴシャツなど着せてもらっているのだが、不良である。 ドスのきいた声で、”おい、ガンつけやがったな、やる気か”などと(英語ですが)いきまく。 たいていはタバコをくわえていてリーゼントで決めているのだがきれいな犬には口笛を吹く。 (P氏の物まねをきいていると本当にその犬が言っているようでおかしいのなんのって)
うちのスミは気弱なマザコンの坊や、”雷も花火もお隣の猫もこわいよう。おうちに入れてよ。わるいことしないからー。”なんて甘える。 それでゴミ箱の中のアイスクリームのカップを取り出して隠れてなめているのを見つかってしかられたりするのだ。



