昔の日本の夏というと思い出すのは、うるさいくらいのせみの声、ラジオ体操の音楽、それに蚊取り線香の匂い。 アズキが底にあるカキ氷〔ミル金が私の好物)、しその葉で食べるそうめん。 今ここにないものばかりである。 クーラーが効いているので、窓を開けることはないしブラインドを下ろして、扇風機もつけない。 えんがわもなければ風鈴もない。
ただ日が暮れてくると庭に見えるのがホタル。 さすがアメリカ製、特大のホタル。 ゆーらゆーらと一応幻想的なのだが、手で簡単に捕まえられるし、そこらじゅういっぱいいるのであんまりありがたみがない。 ホタルは清水にしかすまないはずなのに、いったいどこからやってくるのか。 英語では firefly 火のハエ という情緒のない名前だ。
デパートの屋上のビアガーデンもない。 騒がしいハワイアンの音楽にとりのから揚げと枝豆、冷えて汗をかいている大ジョッキ。 と結局私の回想はまた食べること飲むことに行きついてしまった。