サイノスケはこの5月で高校卒業。 アメリカの高校での最大催し物と言うと、プロムである。ダンスパーティで女の子はイブニング男の子はタキシード。会場までリムジンをレンタルしたり、その前にディナーの予約をレストランに入れたりと、一緒に行く相手を選ぶのにも全人生がかかっていると言った風である。 先週の土曜日にそのプロムのためのファッションショーが学校であった。 サイノスケはそれにモデルで出ると言うので、家族みなで見に行った。
音楽が流れ、カップルで出てきて、アナウンサーが着ている物の講釈を述べる。 サイノスケが着ていたのはヴィンテッジのタキシード、昔風と言うことらしい。細身のジャケットに金の綾モヨウのベスト、その上、サングラスをかけ、大きなイヤリングが片方の耳にゆれている。 花道をかっこつけて歩いてきて、ポーズをとった後、おもむろにジャケットを脱ぎ、肩にかける。 そしてまたポーズ。客席の女の子たちからのやんやの喝采。 私の”勘当だよー”の声もかき消される。
いかにも恥ずかしそうで、歩き方もどこかぎこちない子が多い中、いやーわが子ながら、あきれました。すっかり、決まっていて、このずうずうしさと言うか、自信と言うか、コレはいったい何?どこから来たの?
中学の時は授業中にもめったに口をきかなくて、沈黙のサイノスケと呼ばれていたのに。 高校に入って、弁論大会には出るし、デートも懲りずに何度も繰り返す、一回きりでも。
モデルでバイト代稼いでいけるかななどとバカなことを考えている親である。