膠原病に伴う便秘


強皮症や関節リウマチなどの膠原病では、便秘が引き起こされやすくなります。関節リウマチでは、炎症性蛋白であるアミロイド蛋白が腸管に沈着し、それによって、腸の蠕動運動が抑制されて便秘が引き起こされます。一方、強皮症では、腸管の線維芽細胞によって主にコラーゲンを主体とする膠原線維が異常産生し、それによって、腸管が硬くなって蠕動運動が抑制され便秘が引き起こされます。また、皮膚やその下層にある筋肉が硬くなる限局的な強皮症では、排便の際の「いきみ」がうまく働かず、そのため便秘が引き起こされます。強皮症や関節リウマチなどの膠原病では、便を軟らかくすることが、便秘の解消につながります。ここでは、女性に多い膠原病に伴う便秘についてお話します。


膠原病とは、全身の複数の臓器に炎症が起こり、臓器の機能障害を引き起こす一連の疾患群の総称です。通常、病気は、特定の臓器が障害されて起こると考えられていましたが、膠原病では、多数の臓器が同時に障害されるために、どの臓器の病変が中心であるのかを特定することができず、新たな病気の概念として提唱されたのが膠原病です。したがいまして、膠原病という名の病名(病気)は存在しないことになり、ある特定の共通した病変を持つ疾患群の総称となります。


膠原病には、さまざまな種類の病気があります。典型的な膠原病は、関節リウマチ、強皮症、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎(多発性筋炎)、結節性多発性動脈炎、混合性結合組織病の6種類です。また、その他の膠原病または膠原病類縁疾患には、シェーグレン症候群、ベーチェット病、ウェゲナー肉芽腫症、リウマチ性多発筋痛症、線維筋痛症、アレルギー性肉芽腫性血管炎、過敏性血管炎、顕微鏡的多発血管炎、側頭動脈炎、コーガン症候群、成人スティル病などがあります。膠原病の定義には、「発症が原因不明」という意味も含まれていることから、従来は膠原病に含まれていたリウマチ熱は、発症原因が判明したために、現在では、膠原病には含まれていません。いずれの膠原病におきましても、現在までのところ、根治療法につながる有効な治療法は確立されていません。


このような膠原病に属する病気には、以下のような類似の共通点がみられます。①全身の結合組織が侵され、多数の臓器が同時に障害される、②症状として、発熱、疲れやすい、関節痛、筋肉痛、皮膚のこわばりがみられる、③免疫の異常がみられ、自己の成分や組織に対して、攻撃的で異常な免疫反応がみられる、④遺伝性の病気ではない、⑤他の人にうつる伝染性の病気ではない、⑥悪性腫瘍(癌)ではない、⑦ステロイドホルモンによって症状が緩和される、⑧細菌による感染性の病気ではないので、抗生物質は効かない。従来におきましては、細菌感染は否定的でしたが、最近に至り、膠原病の発症に、腸内細菌やマイコプラズマなどの細菌が関与していることが、次第に明らかとなってきております。よって、一部の抗生物質を用いた治療において、膠原病の症状の緩和がみられています。⑨膠原病全般的に、女性に多くみられる。このように、膠原病は、フィブリノイド変性を伴う全身の結合組織の病気(結合組織疾患)であり、その症状からリウマチ性疾患ともよばれます。また、病気の発症メカニズムから、自己免疫疾患ともよばれます。フィブリノイド変性とは、血管や結合組織に変性したフィブリン(血液凝固の役割を担う線維性タンパク質)を主体とする種々の血液成分が滲み込み形成された組織変性のことをいいます。


膠原病全般に共通してみられる症状に便秘があります。膠原病で腸管の結合組織が侵されますと、腸が硬くなり、蠕動運動が抑制されて、それが原因で便秘が生じると考えられています。特に、強皮症では関節リウマチと同様に、便秘が顕著に現れます。ここでは、膠原病の中でも強皮症を取り上げ、便秘との関連性についてお話します。


強皮症とは、文字通り、皮膚が硬くなる皮膚硬化を主症状とする病気です。強皮症には、全身性強皮症と限局性強皮症とがあり、膠原病に属する強皮症は、全身性強皮症で、限局性強皮症は膠原病は含まれません。全身性強皮症は、皮膚のみならず内臓の臓器までもが硬くなる病態の特徴があります。一方、限局性強皮症は、皮膚または皮膚の下の筋肉層のみが硬くなり、内臓が侵されていない病態となります。このように、強皮症といいましても、両者はまったく異なる病気となります。全身性強皮症は、さらに、「びまん皮膚硬化型全身性強皮症」と「限局皮膚硬化型全身性強皮症」とに分類されます。びまん皮膚硬化型全身性強皮症は、進行性の全身性強皮症で、発症から5~6年は、病状の悪化が進行します。一方、限局皮膚硬化型全身性強皮症は、比較的軽症で、病状の進行はほとんどないか、あるいは、きわめてゆっくりです。このような全身性強皮症の分類は、病状の進行性の違いによって区分されます。


全身性強皮症の人は、医療機関で受診を受けている人で2万人いるといわれています。そのほとんどが、びまん皮膚硬化型全身性強皮症ですので、軽症のため診療を受けていない限局皮膚硬化型全身性強皮症や膠原病ではない限局性強皮症を含めますと、その数倍、おそらく10万人以上の強皮症の人がいると考えられています。全身性強皮症は、25~50歳代の女性に多い病気で、その男女比は1対12、すなわち、強皮症の91%は女性となります。一方、限局性強皮症についても女性に多い病気ですが、その男女比は1対2と、全身性強皮症に比べますと、女性の罹患率が相対的に低くなっています。また、限局性強皮症は、10歳代の若年者に多くみられる特徴があります。


全身性強皮症の主な症状には、レイノー症状、皮膚硬化、便秘などの消化器症状などがあります。レイノー症状は、強皮症の初期症状とて最も多くみられる症状で、冷たいものに触れると手の指が蒼白から紫色に皮膚の色が変化します。皮膚硬化とは、皮膚が硬くなる症状のことをいいます。最初は、手の指が腫れてきて、指輪が入らなくなったり、また、手のこわばりを伴うこともあります。その後、手の背、腕、腹、背中などの体のあたこちで、皮膚硬化が広がります。さらに、皮膚やその下の筋肉層のみならず、内臓組織までもが硬化します。内臓の硬化まで進行したものをびまん皮膚硬化型全身性強皮症といい、皮膚または筋肉の硬化のみで、内臓の硬化まで進行しなかったものを限局皮膚硬化型全身性強皮症といいます。


全身性強皮症で皮膚が硬化しますと、皮膚の色が黒褐色に変化します。爪のあま皮(爪の付け根付近を覆っている皮膚)に黒い出血点がみられたり、指先の皮膚に傷痕や潰瘍がみられることもあります。全身性強皮症では、便秘などの消化器症状も現れます。びまん皮膚硬化型全身性強皮症では、大腸などの消化器が硬化するために、腸の蠕動運動が抑制されて便秘が引き起こされます。また、限局皮膚硬化型全身性強皮症においては、腹部の皮膚硬化によって、排便時の「いきみ」がうまくいかず、それで便秘が生じます。その他の全身性強皮症の症状としては、肺線維症、逆流性食道炎、強皮症腎クリーゼなどの合併症がみられることがあります。


一方、膠原病ではない限局性強皮症では、全身性強皮症でみられるレイノー症状は伴いませんが、皮膚に線維組織が増え、皮膚が硬くなるためにさまざまな皮膚症状が現れます。皮膚硬化の広がり方や形状によって、斑状限局性強皮症、線状限局性強皮症・帯状限局性強皮症、汎発型限局性強皮症に分類されます。斑状限局性強皮症は、指先から手のひらの大きさの円形または楕円形で、硬化した皮膚と正常な皮膚の境界がはっきりした淡紅色のやや盛り上がった斑(発疹)ができます。斑の中心部は、皮膚硬化、皮膚の萎縮(へこみ)、色素脱失(皮膚の色が白くなる)がみられます。背中、胸、腹部によくできます。線状・帯状限局性強皮症では、頭部に線状限局性強皮症が、また、手足には線状および帯状限局性の皮膚硬化がみられます。汎発型限局性強皮症では、斑状または線状の硬化が、体全体にたくさんできます。限局性強皮症においては、腸管組織は硬化しませんので、腸の蠕動運動には影響しません。しかし、腹部にできた皮膚硬化によって、排便時の「いきみ」がうまくいかず、これによって、便秘が生じやすくなります。限局性強皮症の便秘は、限局性全身性強皮症と同じ機序によって、便秘が引き起こされます。ちなみに、腹部にできるウィルス感染症である帯状疱疹においても、腹部皮膚のこわばりによって、強皮症と同様に、便秘が生じます。


このように、全身性強皮症および限局性強皮症の何れにおいても便秘が生じます。便秘の原因は、腸管の蠕動運動の抑制あるいは排便時の「いきみ」への影響によるものです。腹部の皮膚硬化によって、排便時に下腹部に力(いきみ)が入らず、便を排泄させることができなくなるのです。このような状態になりますと、便が腸の中に長時間滞留することになり、それによって、便が硬くなって便秘が生じることになります。ですので、強皮症による便秘の解消には、便を軟らかくすることが効果的となります。いきみが弱い状態でも、便を軟らかくすれば排便が促進されます。


下痢を伴わず硬くなった便を軟らかくして便秘を解消する効果が高い天然の成分はイヌリンとよばれる水溶性の食物繊維です。イヌリン食物繊維は、水によく溶けますが、水に溶けても膨潤化(膨らまない)しませんので、他の食物繊維とは異なり、腹部膨満感を伴わない特徴があります。イヌリン食物繊維は、大腸に生息するビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌の栄養源となって、それらの善玉菌を特異的に増やす効果に優れています。大腸内で増えた善玉菌は、酢酸、乳酸、酪酸などの健康に良い有機酸を副産物として産生し、これによって、便が軟らかくなり、便秘の解消につながります。強皮症のように、腸の蠕動運動が抑制されたり、排便時のいきみが弱くなることによって生じる便秘にも、イヌリン食物繊維は効果的となります。今では、スティムフローラのように、不純物を含まない極めて高純度のイヌリン食物繊維が、健康補助食品として市販されています。膠原病や強皮症に伴う便秘の予防や改善に、このような健康補助食品を活用することも有用です。


現在までのところ、強皮症、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群などの膠原病の発症原因は不明とされています。しかし、多くの膠原病に関して、その発症原因は、大腸に生息する腸内細菌の悪玉菌がその原因であるとの指摘が、多くみられるようになってきました。現に、病院や医師によっては、膠原病の治療に抗生物質をもちいて腸内細菌を死滅させる治療を実施しているところもあり、その治療法が広がってきています。しかしながら、抗生剤の使用は長期に及び、しかも、抗生剤は膠原病の原因となっている悪玉菌のみならず、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌までも死滅させてしまうために、反って、健康状態が悪化してしまうことがあります。これに対して、イヌリン食物繊維は、食品栄養成分であるので、健康に害を与えずに、大腸に生息するビフィズス菌や乳酸菌を増やし、それによって、膠原病の原因となる悪玉菌は相対的に減少して、膠原病の症状を緩和させる効果が期待されます。しかも、イヌリン食物繊維は、長期に使用することができるという利点も有しています。


膠原病である強皮症を根本的に治療する方法は、現在までのところ、確立されていません。一刻も早い、病院の解明と治療法の確立が待たれるところです。腸内環境の悪化は、膠原病の発症と関連している可能性がありますので、腸内環境を整えることは、膠原病対策において有効である可能性があります。合併症としての消化管障害、特に便秘の改善においては、長期使用の観点から、天然素材の成分を活用することが望まれます。
便秘の解消法:女性の便秘解消対策









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