IQ84→1Q84 BOOK1 | 赤毛のアンで英語のお勉強

IQ84→1Q84 BOOK1



IQ84って、何なの?
知能障害の話か?

物語の始まりを見ると若干そんな気もした。
なにしろ、タクシーの運転手がちょっと普通じゃないし、
なかなか人物描写がうまいな~
なんて思ったのだが

そのうち、主人公の一人が殺し屋で、
もう一人がゴーストライター。

そのあたりで、いい加減嫌になった。

先日再びこの本を手にして読んでみた。

なんと、IQ84と思っていたタイトルが、実は
1Q84だったのですね。

改めて、主人公はスポーツインストラクター兼殺し屋で
ある青豆と、予備校の数学教師でありながら、小説家志望
の天吾。

この二人の話が交互に描かれる形で進んでいく。

読者としては、当然のことながら、どこでこの二人の接点が
出てくるかを期待しながら読んでいくのです。

SFの面からこの本を考えてみるかな。
主人公の一人青豆は、暗殺に行く途中交通渋滞に巻き込まれ、
高速から歩いて降りることになる。そのとき言われたのですね、
降りた時点から世界が変わるかもって。

世界が変わったのです。
暗殺者の常として、世の中の出来事、特に大きな事件とか、
死にまつわることには注意していたはずなのに、
誰もが知っている重大事件を自分は記憶していないことに。

この記憶の欠落は何を意味しているのか?
普通なら自分はどこかおかしくなったのか、なんて考えるので
すが、青豆は、世界がおかしいのではないかと考えた。
そして、自分の記憶する世界の1984年に対して、現在自分の
いる世界を1Q84年と名づける。

尋常じゃない精神ですね。
このあと、青豆の目にはというか彼女の住む世界には月が
2つあることもわかる。
読者としては、この時点で、青豆の精神がおかしいのか、
世界が本当に変わったのかは不明。

一方、天吾の方では、ふかえりという17歳の少女が書いた
小説を書き直し、徐々に厄介な事件に巻き込まれていく。
書き直した小説は新人賞をとり、ベストセラーになるのだが、
その小説の中に、リトルピープルとう謎の生き物(?)が
登場する。

ふかえりの作品は、うまくはないが、オリジナルなものが
あった。まるで事実を淡々と書いたような緻密さがあるの
だが、ではそこに登場するリトルピープルも現実に存在す
るのだろうか?

1984年とは、ジョージ・オーウェルの作品であり、そこに
ビッグブラザーが登場する。1Q84はまさにこの作品に関係
し、ビッグブラザーに対比するのがこのリトルピープルな
のだろうが、どういう形で対比していくのか?

天吾はふかえりの作品を書き直したあと、自分でも始めて
と思われる創作欲に駆られるのを感じる。
そして、書き始めた作品には月が2つあった。

青豆と天吾の世界はともに存在する平行宇宙なのか?
現実が過去の集積というのであれば、過去を書き換えた
別の世界が存在するのか?
それとも、青豆の世界は天吾が作り出した世界なのか?

BOOK1はここで終わり、BOOK2に続くようです。

村上春樹の作品を読むのは初めてです。
これって純文学? ってな感じで読んでいます。